引きこもりの僕(中1)に隣の家のババア(17歳JK)が絡んできてウザい
佐久間零式改
第一部 ババア・デイズ
第一章 ババアとの日々
第1話 ババアは毎日訪れる ver2.0
引きこもりの朝は遅い。
深夜までゲームをやっていた事もあるが、僕を起こしにくる奴がいないからずっと寝ていても平気なのがいい。
注釈として、その事については、例外があるけど。
今日は午前十一時くらいに起床して、しばらく布団の中でゴロゴロして、腹の虫が五月蠅くなったので布団から出て、冷蔵庫を漁りに行って、中に入っていた弁当を取り出して、電子レンジで温めて、自分の部屋に戻って食べた頃にはもう正午になっていた。
両親は滅多に家にいない。
普段は僕一人で家にいるようなものなので、そんな自堕落な生活ができるのだ。
今年、中学生になったけれども、学校に行く気力がわかないので不登校だ。
普通の家庭ならば、両親がそんな事を許さず、絶対に学校に行かせようとするだろう。
いや、理解のある両親ならば、学校などに行かなくても良いと言いながらも、家庭教師やらなんやらで学校よりも高度な教育を施そうとするかもしれない。
だが、僕の両親は厳格でも、理解のある方でもなく、ただ単に放任主義なだけだ。
放任主義を通り越して、放棄していると言っても過言ではない。
母親は僕の食事をある程度用意して、朝の九時には家を出て、男の家に行っている。
父親は、若い男とくっついてどこかに行ってしまって行方不明だ。
行方不明となっているけれども、父親は生活費だけは送ってくるらしいので、僕がなんとか生活できている。
戻ってきたら戻ってきたで、僕の貞操の危機がありそうなので、このままお金だけを送ってきさえすれば帰ってこなくてもいい。
「ふぅ……」
朝ご飯なのか昼ご飯なのかはっきりとしない飯を胃に流し込んだら眠くなってしまった。
僕はその睡魔に抗う事になく、ベッドに潜り込み惰眠をむさぼった。
けれども、
『ピンポーン』
という呼び鈴の音で睡眠を邪魔されてしまった。
「……まったくもう……」
この家に訪ねてくる者は限られている。
宅配便の人か、とあるババアだ。
億劫ながらも、僕は布団から這いだして、窓の傍まで行って玄関先を見やる。
「……どうして来る? このババアは。僕なんかと毎日会って、何が楽しいんだろ? ただ僕を哀れんでいるだけなのかな、もしかして?」
玄関先にいたのは、やっぱりババアだった。
ババアの名前は、多久仁奈(たく にな)。
僕の家の隣に住んでいる今年で十七歳になる高校生のババアだ。
学校帰りでセーラー服なんか着ているが、僕の家を訪れるよりも他に行く場所があってもいいんじゃないか、女子高生なんだし。
「……さて、どうしてやろうか?」
ババアは僕が見ている事に気づいて、僕に笑顔を振りまき始める。
「また来たよ、暦ちゃん」
どうして僕の名前を呼ぶかな。
御木本暦(みきもと こよみ)というのが僕の名前だけど、暦と呼ばれるのはあまり好きじゃない。
御木本と呼ばれるのもあまり好きじゃない。
僕を呼びならこう呼んで欲しい。
『漆黒のファルネーゼ』と。
とあるオンゲーでの僕の通り名だ。
このババアにも言ってあるのだけど……。
「暦ちゃん、ドアを開けてよ、はやくはやく!」
僕を見ながら、手をぶんぶん振りながらそう大声で言ってくる。
近所迷惑だからそんなに大声を張り上げないで欲しいんだけど。
「暦ちゃん、中に入れて!」
そんなに大声を出さないでも聞こえているって。
「お姉さんをじらしたって良い事なんて何もないよ? だから……ね? 早く入れて」
いやいや、別にじらしていないから。
「お姉さんをこんなに待たせたらダメだって。だから早く入れて!」
大声で叫ばれ続けるのはさすがに近所迷惑だし、そろそろドアを開けに行こう。
「ほら、暦ちゃん! 見つめてないで早く入れてったら入れてよ!」
何を言っているんだろう、このババアは。
僕は仕方なく部屋を出て玄関へと向かった。
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