Call waiting

床町宇梨穂

Call waiting

電話が鳴る。

二回なったところで受話器を取る。

「私・・・元気?」

名前を名乗らない女は敖慢だけれど、いい女が多い。

「ああ、元気だよ。」

長くなりそうだな、と思いながらも元気な声を出してみる。

それから三十分ほど日常の話をして彼女の電話にキャッチが入った。

「あ、キャッチだ、後でかけなおすね!」

また明日、と言おうとした僕より早く電話を切ってしまう。

結局僕は彼女の電話を待たなければならない。

電話が鳴る。

「一時間も友達と話しちゃった!」

つまり、僕は一時間も彼女の電話を待っていたわけだ。

「もう何していいかわかんなーい!」

もうすぐ十二時になろうとしているのに何をしようというのだ?

その時また彼女の電話にキャッチが入った。

「まだ起きてるでしょ?」

今更眠いなんて言えない・・・。

また僕は彼女の電話を待つ。

電話が鳴る。

「うわ~もう3本目のワイン開けちゃったよぉ~」

酔っているらしい。

「買ってくる時重かったのに~、何でワインの瓶ってこんなに重いんだろ~?」

彼女はペットボトルに入ったワインが飲みたいらしい・・・。

「ねぇ、一緒に住もうよ!」

酔いがだいぶ回っているらしい・・・。

「じゃあ、結婚しよう!」

完全に酔っぱらってしまった様だ。

「眠くなってきたから寝るね!」

目が冴えてきた僕はどうすれば良いんだ・・・。

電話を切ってから彼女と一緒に暮らす自分を想像してみた。

とりあえず、彼女の電話を待たなくてもよくなりそうだ・・・・・・。

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Call waiting 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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