第3話 従者の災難

みなさんこんにちは。

私はパラティウム領地レオンハルト家のメイド、ミレーナです。


本日は主様の誕生日パーティー、たくさんの方が主様に会いに来てくださいます。


「うん、ばっちりですよお嬢様。」


お嬢様も綺麗な桃色のドレスをお召しになっています。お嬢様の綺麗な赤髪と相成ってとても美しいです。


「はぁ、あんまり気乗りしないなあ。」


「なーに言ってるんですか。アルバ様も我慢なさっているのですから、今日だけですよ。ちょちょちょっとあしらえば良いのです。」


なんて、こんな可愛らしいお嬢様にはたくさんの殿方がついて回るのでしょうね。可哀想に。


「お嬢様とてもお似合いです。」


誰よりも先にお嬢様の元へとやってきたこの屋敷の嫡男アルバ様。主様の養子なのですが、いつも私の仕事をとってはお嬢様にべったりなのです。元々綺麗な顔立ちなのに加え、今日はいつもと違うお召し物なのでこれまた令嬢方が放ってはおかないでしょう。でも、


「もーう、ノックはさすがにしてくださいアルバ様。」


「お嬢様今日もしどこの馬の骨かも知らぬ雄に声をかけられたら私をすぐに呼んでくださいね。まあずっと張ってるつもりですけど。」


「聞いているんですか。主様にいいつけますよ?」


そう言うとすぐにひゅるりと私の方へ向き、


「いやっ、それだけはご勘弁を!ミレーナ様!どうかっ!せめて今日が過ぎてからっ!」


今日お嬢様から離れてしまっては危険だと顔に書いてあります。


「じゃあさっさと出てってください。ほらほら、まだまだお嬢様には準備があるんですから。」


泣きそうな顔のアルバ様を部屋から追い出す。ハウス、と言われたワンちゃんのようです。振り返るとさっきから黙り気味だったお嬢様がいらっしゃいます。


「…言ってあげればよかったじゃないですか。」


「はっ…はっ?何をっ?」


「かっこいいと一言ですよ。」


…まあ言わなくともその真っ赤なお顔で他人から見たら、バレバレでしょうけどね。お嬢様の可愛らしいお姿にメロメロだったアルバ様は気付かなそうですが。


「だっ誰がそんなこと思ったってのよ!」


ガタンっと椅子から立ち上がるお嬢様。

定番の嫌なパターンな気が…


「ミレーナのばかぁぁぁぁ!!!」


びゅうううんとお嬢様は部屋から飛び出していってしまいました。あらら、


それから私は一時間後にお嬢様を見つけだし、三十分で準備をなんとかすませたとかそうでないとか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る