青春をテーマに
兵頭 七日
28歳 会社員 男
「うわっ。まぶし〜」
夕方だというのに、太陽の光は元気に照らしてくれていた。
営業終わり、会社へと戻るクーラーの効いた車の中、なんとなく外を覗いた。
窓の外には、自転車で並んで帰る男女。二人の距離感から、初々しさが感じられた。
そして、その少し離れた後ろからは、3人の男たちが前の二人に追いつかないようゆっくりと進んでいた。
おそらく、彼氏と友だちなんだろう。二人の邪魔にならないように…
いや、もしかしたら、二人の様子を見て、明日学校でからかってやろうとしているのかもしれないが。
友達の、普段は絶対見ることのない、彼女の前限定のカッコつけた顔や、二人の間に流れる甘酸っぱい雰囲気が、なんだかドキドキするんだよな。
見ているこっちが恥ずかしくて、羨ましくて、そしてちょっと妬ましくて。
「あーらら、見つかった」
結局、男たちは雰囲気に耐えきれなくなったのか、見ている罪悪感からか、二人に近づいてなにやら騒いだ後、離れて行った。
俺はなんでか、初々しいカップルよりも、それを見ていた男たちを見て、ひどく懐かしさを感じていた。
それはきっとこの先、誰かとカップルになる事はできても、カップルを見て恥ずかしくなって友達とニヤニヤする事はできないと分かっていたから。
「あーあ。今日も眩しいなぁ…」
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