第12話 意外と淡白なのね
『お待たせしました』
間違いなく喫茶店で見た男性だった。
「いえ…。あ、これ封筒です」
『本当にすいません。まさか見ず知らずの方に届けて貰えるとは思いませんでした』
確かに!と思いつつも
「同じ喫茶店の常連ですから」
と、大人の対応をする。
『本当にありがとうございました』
「……あ、では俺はこれで」
障害を持つだけで、それが健常者に対してのコンプレックスになると聞いたことがある。
だから、それを感じたのかある意味淡白というか…。あっという間に帰路につく流れになった気がした。空気は読めるタイプです。
『あら、もうお帰りですか?』
「はい、用事も済みましたので」
奥様とも淡白なやり取りで家を出る。
赤の他人とのやりとりなんてこんなもんか。
お礼を期待していたわけじゃないが、微妙に物足りないというか肩透かしというか…。
まだ夕方だ。
帰りに喫茶店に寄ろう。
マスターに報告がてらコーヒーを飲もう。
で、帰ったら巻島さんのサイトを覗こう。
今度はどんな本を読んで感想載せたかな?
そんなことを考えながら歩いていた。
──いつもの席が空いてるといいな。
音無さんにお会いしていた時間に対して、
夕焼けに照らされた影はすごく長かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます