第72話 監禁

シロが目を覚ますと、シロはベットに横になっていた。

ベットから起き上がろうとすると、何かに引っかかり起き上がることができない。

違和感を感じ、自分の腕に目を向けると両腕には鎖が繋がれている。

足を動かそうとしても動ける気配がないし、おそらく足にも繋がれているのだろう。

とにかく鎖を外そうとがむしゃらに腕を動かしていると、部屋の扉が開き、そこからマキが現れた。


「あれ、もう起きちゃったの?」

「もう起きちゃったのって、まさかこれマキちゃんがやったの!?」

「そうだけど、それがどうかしたの?」

「どうかしたのって、これ早く外してよ!!」

「えー、それは無理なお願いかなぁ。だって、外したらあなたは絶対に菜々の元へ行こうとするでしょう?」

「そ、それは・・・」

「今まであなたの一番は私だったはずなのに、いつの間にかその立場を菜々に奪われて」

「ち、違うの!菜々は別にそんなんじゃ・・・」

「うるさい!!あなたは私の事だけを見て、私の事だけを考えていればいいの!そうなれないならあなたの事をまた殺すだけよ」


 そう言うと、マキは後ろに隠していた包丁を手に取りシロの首元ギリギリに刃を近付けた。

 

「ひっ・・・!」

「前みたいに殺されたくはないでしょう?なら私の言う事、分かるわよね?」


 シロは涙を浮かべながらも必死に首を縦にふった。

 そうすると、マキは笑顔を浮かべ包丁を降ろした。


 「そうよ、よくできたわね。でも、鎖を外すのはまだちょっと待ってもらえるかしら、あなたの事を信用したいのだけれど、まだ逃げようとするかもしれないからその意思がなくなるその時まで、これは付け続けてもらうわ」


 そう言うと、マキは部屋を出て行った。

 扉の閉まる音が聞こえると、シロは呆然と天井を眺めていた。

 今までとは全く違うマキちゃん、昔みたいに優しい様子はあるが、それ以上に私に対しての愛が数倍に跳ね上がっている。

 出かけ先を尾行されたり盗聴をされたことは昔もあったが、動きまで制限されるっていうのは今回が初めてのケースになる。

 多分こうなったのは間違いなく菜々が関係しているとしか思えない。

 菜々に対しての対抗意識を燃やすあまり、その他のことが全く眼中に入っていない。

 だから今のマキちゃんはきっと、すぐに邪魔な人は殺してしまうかもしれない、たとえ相手が誰であろうとも。

 もう、あの頃の楽しかった生活には戻れないの・・・?

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