第49話 モネの企み

モネがマキの元へ向かっていたのは、シロが菜々の家で話し合いをしていた時だった。

モネはマキの家に行き、シロがいないことを確認するとモネは持って来た睡眠薬入りのお茶を差し出した。

それを受け取ると、マキは何も気にする事なく飲み始めた。

数分間、モネと話し込んでいると突如眠気に襲われマキはそのまま眠りについてしまった。

モネはそれを確認すると、裏で待機させていたスーツの男達を呼び、マキを運ばせた。

その時偶然シロに姿を見られてしまい、モネは急いで車を発進させた。

そんなモネ達が向かっている場所は街から遠く離れた山の中にある一軒家だ。

そこには一人の白衣を着た老人とスーツを着たガタイのいい男が立っていた。


「お爺様、こんにちは」

「おぉ、モネか。よく来たのぅ」

「早速なんだけど、この子を連れて来たわ」

「おぉ!よくぞ連れ戻して来てくれた!外は寒かったろう、中に入るといい」


おじいさんの誘いに乗り、モネ達は家の中に入る。

家の中は散らかってはいたが、部屋の至る所にトロフィーや賞状が飾られている。

おじいさんからお茶を出されたタイミングで、モネは話を始めた。


「あのね、お願いなんだけど私、その子が欲しいの」

「あぁ、それなら構わんぞ。実験さえ終わってしまえば儂はどうでもいいからのぅ」

「え、ほんとに?やった!でも、これから何をするの?」

「今からこの子の記憶を全て抜き取るのじゃ」

「そんなことできるの!?」

「あぁ、できるとも。この装置を使えばな」


そう言いながらおじいさんは隣の部屋を開けた。

するとそこには大きな機械と繋がっているヘルメット、そして全身の拘束用具がついた椅子が置いてある。

もはやこれは普通の椅子ではない。


「これってもしかして」

「あぁ、あやつらの作っていたものの完成版じゃ」

「ついに完成したのね!!」

「これがあれば誰の記憶でも取り放題、入れ替え放題じゃ」

「まさに最高の機械だわ!!」

「その第一被験者がマキくんというわけだよ」

「とっても光栄ね!」

「あぁ、その通り。そして君達も新たなる時代の目撃者となるのじゃ!それではゆくぞ!」


その時、ドアを叩く音が聞こえた。

作業を一旦中断し、ボディーガードに確認をしてもらったのだが、ドサっと鈍い音がしたので慌てて玄関に戻ると、そこにはスタンガンを持ちながら立っている菜々の姿があった。その後ろからはシロが現れた。


「「私達のマキちゃん、返してもらうわよ」」

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