第50話 決着

実験をしようとした瞬間に現れたのは菜々とシロの二人だった。

二人が一緒に現れた事で、モネは混乱してしまった。

前まであの二人は凄く仲が悪かったのに、どうして今は二人で一緒にいるの!?

そもそもここまでこれたことだって、何一つわからない。

モネとお爺さん、もとい博士は混乱していた。


「さぁ、私達のマキちゃんを」

「返して貰いますよ」

「ま、待ってよ!あなた達、前会った時は仲が悪そうだったじゃない!なのに、なんで協力し合ってるのよ!!」

「何でって言われても・・・」

「目的は同じだし、ねぇ」

「じ、じゃあどうしてここの場所が」

「私のやってた事、忘れたの?発信機を組み込むくらい簡単なのよ」

「で、でも誰の持ち物にも反応なんて」

「そりゃ持ち物には付けてないわよ、私が組み込んだのマキちゃんの体内だし」

「そ、そんなの分かるわけないじゃない・・・」


レベルの違いを思い知ったモネは膝から崩れ落ちた。

そんなモネを気に留めず、菜々達はマキの元へ向かって行く。

そこにはもうボディーガードもおらず、博士ただ一人になってしまった。


「さぁ、おとなしくマキちゃんを解放して!」

「嫌じゃ!この子はワシの最高傑作を体験する最初の人物にするとあの時から決めておったのじゃ!」

「やっぱり、あの時データを盗んだのは」

「ワシじゃ。あいつには濡れ衣を被ってもらったがの、おかげさまで機械は完成できたわい」

「この・・・」

「今、この実験を止めるわけにはいかないんじゃ!お前達はそこで指をくわえて見ているがいい、そして友を救えなかったことを永遠に後悔するのじゃ!!」


そう言いながら博士はポケットからボタンを取り出し、間髪入れずにボタンを押した。

すると、マキの頭に付いていた機械が作動を始めた。

始めは小刻みに震えていたのが段々と激しい揺れに変わっていく。

博士は高笑いをしながら機械を見つめ続けていた。

もう、ダメだ助けられなかった・・・菜々は完全にそう思っていた。

ところが、機械が突然急停止してしまったのだ。思わず博士もマキの元へ駆け寄っていった。


「い、一体何が起こったのじゃ?機械はちゃんと作られているはず・・・」

「それはこういう事よ」


後ろからシロが突然現れ、機械とつながっているヘルメットを爺さんに被せた。


「これを押せばあなたの記憶は消えるのよね?」

「お、おい、よせ、やめるのじゃ・・・」

「そう言われても貴方は実験を続けて来たのでしょう?あなたの意見は聞けないわ」


シロは躊躇なく機械のスイッチを入れた。

機械が再び振動しだし、あたりが光に包まれた。

しばらくすると、ヘルメットが脱げた状態で倒れている博士の姿があった。


「私は誰だ・・・いったいここで何を・・・」

「本当に完成してたのね、これ」

「そうみたいよ」

「それで、本物のマキちゃんは?」

「隣に部屋があったからその部屋に寝かせてきたわ」

「ありがと、貴方の事信用しててよかったわ」

「まぁ、昔よくやってたもの」


菜々が博士と話している間に、シロが気づかれないように人形とマキをすり替えておいたのだ。

シロが存在感を消す事は昔マキ相手によくやっていた事だったので朝飯前だった。

それを確認した菜々はすぐさま対応を変更し、わざと落ち込む様まで演じきった。

博士たちは完全に菜々達の手のひらの上で踊らされていたのだった。

マキを無事に救出した二人はモネの自宅から出ようとしていた。

しかし自宅から出ようとした瞬間、一発の銃声がした。

振り返ると、おそらくボディーガードから奪ったであろう銃を持って倒れているモネがいた。

そして、菜々が血を流しながら倒れた。


「い、いやぁあああ!!!」

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