第39話 秘密

朝、荷物を抱えながらマキが旅行から帰宅して来た。

後ろでは菜々も荷物を抱えていた。


「ただいま〜」

「おかえり、マキちゃん!」

「荷物、ここに置いておくわよ」

「あ、ありがとうございます!」

「いいのよ、また行きましょうね」

「はい!」


菜々は荷物を置いて行くと、そのまま家から出ようとした。

その時シロは家から飛び出し、菜々の元へ向かって行った。

菜々はシロが向かって来ていることに気付くと、家の前で立ち止まった。

菜々の顔は旅行前よりも若干疲れが見えていた。


「どうかしたの?」

「あんた、何かあった?」

「何かって何よ」

「あんたにしちゃ珍しく疲れてるみたいだから」

「あー・・・昨日の夜にちょっとね」

「もしかして、マキちゃんとお酒飲んだ?」

「・・・その通りよ」

「あんたも知ってるでしょ?マキちゃんにお酒飲ませたらダメなのよ。ずっと離れてくれないし、離れたと思えばすぐに人の膝で寝るし・・・」

「えぇ、私もすっかり忘れてたわ・・・」

「昔三人で隠れて飲んだ時もそうだったじゃない、あの時もマキちゃん一人だけ酔っ払って・・・」


そこまで言いかけた瞬間、菜々の雰囲気が変わった。

私も余計な事を言ってしまった自覚があった。


「・・・用はそれだけかしら?」

「い、いいえ。もう一つあるわ。三番目のノート、早く貸しなさいよ」

「ちょっと待ってて、今持ってくるから」


菜々が玄関を漁ると、ノートが靴棚の中から出て来た。


「はい、これでもう用はないわね」

「え、えぇ。そうね。・・・ねぇ、私達、また前みたいに」

「もう今日は疲れてるからまた今度にして」


そう言い残すと、菜々は家のドアを閉めてしまった。

少しの間菜々の家の前で立ち止まっていたが、受け取ったノートを握りしめて自宅に戻って行った。


シロが家に戻っていた頃、自宅に戻った菜々は机の引き出しの中からアルバムを手に取った。

そこには学生時代の時のマキとエリ、そして菜々の三人が笑顔で写っていた。

そのアルバムを少し見つめた後、再び引き出しの中に戻した。


「私だって、戻りたいわよ。けど、もう遅いのよ・・・」

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