第37話 親切の裏側

シロが菜々の用意していたノートを読んでいた頃、マキ達は水族館へ遊びに来ていた。


「うわぁ、水族館なんて久しぶりに来ました!」

「休日だし人も多いわね。早く来ておいて正解だったわ」

「私達でも早い方かと思ってましたけど、10分くらいは待ちましたね〜」

「それだけここの水族館は人気なのよ」

「よくチケット持ってましたよね」

「あぁ、知り合いがここで働いてるのよ。だからチケットを取ってもらったの」

「菜々さん、顔広いんですね〜」


マキはとても楽しそうに水族館を見て回っていた。その様子を菜々は写真に撮っていた。

しばらくの間はバレなかったが、途中でマキに勘付かれ写真を全て消されていた。

まぁ、別の所にも保存してあるから消えては無いんだよね。っと、そろそろお昼かもう読み終わってるかな。

私は一旦トイレに行くと嘘をつき、マキに見つからない様シロに電話をかけた。


「お待たせ〜」

「あ、遅いですよー」

「混んでて中々進まなくてさー」

「まぁ、この数だと仕方ないですね」

「それよりも、お昼にしましょう。奢るわよ」

「え、いいんですか!?何にしようかな・・・」


あー、本当に可愛い。昔のマキちゃんは私のことを毛嫌いしてて、私を見る度にすごく嫌そうな目をしてた。

あの時の目が堪らなかった。でも、私のものにはなってくれなかった。

いつもいつも側にあいつがいて、あいつのせいで・・・私は近づくことすら出来なくなった。

でも、今は違う。わざと傷つく様に仕向けたし、シロの悪夢だって私が見せた偽物。

そうすればマキちゃんが倒れる寸前までになる音は予測できてた。

そこで傷心旅行を決行すれば体も休まって、リラックスまでできる。

そんな環境を提供した私に興味も持ってくれるはず。そうなれば後は順を追ってそのままゴールへ・・・


「菜々さーん、どうしたんですか?早く行きましょうよ」

「あ、うん。そうだね行こっか!」


この旅行、邪魔してくる人もいないしマキちゃんを惚れさせて、二人で幸せな時を過ごしてみせる!

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