第21話 シロと菜々
とある日の休日、マキ達の家に菜々が遊びに来ていた。
しかし、シロが菜々を家に迎えたくないと頑なに拒否していたのだが、菜々の持って来た手土産がマキの大好物であるシュークリームだった事を汁と、渋々菜々を家に招き入れた。
菜々を家に入れた後でもシロの警戒心が溶けることはなく、ジッと菜々のことを見つめ続けていた。
そんな中、マキは菜々からシュークリームを受け取ると、中身を小皿に分けて紅茶と一緒にテーブルへ持って行った。
「もう、シロ。いつまでも見続けるんじゃないの」
「で、でもマキちゃん、この人は・・・」
「あらあら、私は別にいいのよ?」
「そういえば、今日は何の用だったんですか?」
「あぁ、そうだったわね。はいこれ、アロマオイルよ。それと、アロマディフューザーも」
「え、これを私にですか?」
「違うわ、シロちゃんによ。最近嫌な夢を見てるんでしょう?それなら良い香りでリラックスしながら寝れば見なくなるかと思って」
「わぁ、ありがとうございます!」
「良いのよ。困った時は助け合わないと、ね」
マキが持っていたアロマディフューザーに興味を持ったシロはマキからアロマディフューザーを受け取ると、自室に持って行ってしまった。
きっとどんな香りなのかいち早く確かめたかったのだろう。そんなところを見てると、年相応に見えて可愛いなぁ。
数分後、満足したシロはマキにアロマディフューザーを返してきた。マキはシロから受け取ると、アロマディフューザーをシロと寝る寝室へ置きに行った。
その時少しの間だけではあるが、シロと菜々二人だけになった。
「ねぇ、なんで私が嫌な夢見てるなんて知ってたのよ」
「相談されたのよ、マキちゃんに。あなたがかわいそうだから〜、って」
「まぁ、今回はお礼を言うわ。ありがとう」
「良いのよ、それくらい」
「でも、これはもう少し上手く隠すべきだとは思うけど?」
そう言いながら、シロは机の上に小さな機械をばらまいた。
シロはジッと菜々のことを見つめていたが、菜々は完全に知らん顔をしていた。
「あらあら、どこかで紛れ込んじゃったのかしら」
「とぼけないで、全部あのアロマディフューザーの中から出てきたのよ」
「・・・はぁ、本当にあなたって可愛げがないのね」
「認めるのね、あなたが仕込んだって事」
「そんなことは言ってないわ。でも、良く気づいたわね」
「当たり前でしょ、あなたからの貰い物なんて怖くて使いたくもないもの」
「用心のし過ぎはいつか痛い目見るわよ」
「ご忠告どうも」
その後、マキが戻ってきたタイミングで菜々は席を立った。
どうやらこのあと予定があるらしくここで帰るとのことだった。
見送りにはなぜかシロがついて行っていた。
マキはいつの間にか二人が仲良くなったのだと勘違いしていたが、実際は全く違った。
「見送りありがとう、シロちゃん。また来るわ」
「えぇ、二度と来ないでください」
二人が仲良くなる日が来るのかどうか、それは誰にもわからない・・・
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