第3話 テスト結果発表

 また場所が変わる。今度はどこかの神殿。そして、この神殿にやってきたのはしいか1人ではない。少し離れた所に光のカーテンに包まれた誰かがいる。しいかの右側にも左側にもその奥にも。光のカーテンはやがて消えていき、包まれていたのがアイリスやあおいだったことが分かる。馴染みの皆がいることに、しいかは安心する。


 神殿にいるのは全部で6人。肝心な人がいない。そのことをあゆみに指摘されて、しいかの顔が青ざめてしまう。


「あれ、マスターがいない……。」

「そうですね。それからまりえもいないみたいです……。」

「どういうこと? 他のみんなは一緒なのに!」

「ま、2人でふけたってセンもありっしょ!」

「だから、無理して異世界なんかに来なくっても良かったのよ」

「まぁまぁ、そのうちに来られるかもしれませんから!」


 アイリスは意外に呑気に構えているようだ。他のみんなもそれほどいつもと変わらない。自分1人でいても平気なようにしいかには感じられた。しいかは本当は心細くって太一を探したいが、ここが何処だかも分からないのだから、諦めて皆と一緒に待つしかない。


 6人の話題は、直ぐに異世界テストのことになる。どうやら、6人共同じ状況に陥ったようだ。だが、そこでの対応はそれぞれ違っていた。大きく分類すると、大体4つの対応になる。そして、女神に告げられた才は話しかけた相手によって違うのではないかと、優姫が言い出した。


「一理あるわね。アイドルさんに話しかけた私とあゆみが同じ魔法使いなんだから」

「じゃあ、私はおっさんに話しかけたから、診断結果が戦士だったの?」

「どうやらそのようです。私も戦士ですから」

「そんな。折角おっさんに話しかけてあげたのに……。」


 アイリスは、魔法が使えそうにない戦士という診断結果に不満があるようだ。


「まことはどうしたの?」

「ま、誰にも話しかけてないっしょ!」

「あの状況で、誰にも話しかけないで、どうしたっていうのよ」


 あおいが呆れ顔でまことに尋ねた。まことは自身の行動を振り返り、言った。


「ま、誰ってわけでもなく、ボソッと言ったっしょ」


 まことは、チャックを確認しようとか、ホックを締め直そうと、相手に聞こえる大きさの声で『独り言』を言ったのだと説明した。ボヤキ癖のあるまことらしい。


「なるほど、誰にも直接話しかけていないってことなんですね!」


 優姫が納得したように言うと、光のカーテンが出現した。今度は誰がいるのだろう。

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