第二期
第25話 温泉旅行へ
「レンさん……」
1人の少年がベットで横になっている俺の体を左右に揺らす。
「んん……」
目が少しずつ開く
「レンさんっ!!おはようございますっ!」
ベットの横で元気に立っている少年はそう声を掛けてきた。
「お前……何でそんな朝から元気が出るの……」
少し起き上がり、目を擦りながらたどたどしく言葉を出す。
「だってっ!!今日から4日間!!温泉旅行ですよっ!!楽しみですね!!まだ脇腹が痛むのですけどもねっ!!いやぁ~良いですね!!最高でございますねっ!!」
「とりあえず一から日本語勉強し直してこい」
俺達はあの戦いの後、大怪我を負ったせいで結局数週間動けなかった。
リハビリも兼ねてようやく動ける用になったのが1週間前だ。
少し体を動くようになった時に広場の噴水近くでルークから提案の用な物を聞かされた。
「どうだ……?体調は……」
「お陰様で何とかマシになってきたよ」
そう言い腕を伸ばす。
「こっちはもうすぐ1ヶ月なのに全く始末書が終わらねぇんだよな……」
ため息をつき肩を下ろす。
「そんなに多いのか……?」
「多すぎだよ全く……」
ルークはあの大きな戦いからずっと自室にこもり、山のように積んである始末書やその他諸々を片付けていた。
「それで……?話って何だ……?」
「あ、あぁ……後1週間くらいすればお前達にありがとうのビックサプライズをするつもりだ」
「それ俺に言ったらサプライズじゃ無くないか……」
「頭お花畑のシロウに言うよりお前に言った方がいいだろ。それに、サプライズの為の準備が必要だからその間はベルフェベットから離れてほしい。」
「まぁ……散々世話になったしな。分かったよ。体も動くようになってきたし、そろそろ活動を再開しないとな……」
ルークは笑顔で微笑む。
「すまん!ありがとなっ!」
「1週間で帰ってこれる場所か……」
腕を組少し考える。
「あっ!!良い所あるぞ!!」
ルークが突然そう呟く。
「良いところ…?」
たまらず聞き返す。
「あぁ…!!この前新しく温泉旅館が出来たらしいからそこに旅行してきたらいいんじゃないか?金はこっちが出してやるし、それに体が動くといっても心のケアも必要だろ?お前の仲間の分もこっちが出すからどうだろうか?」
「んん……まぁ…そうだな……確かにここ最近シリアス展開で疲れてたからな。ここはお前に甘えるとするよ。」
「じゃ!決まりだな!明後日から予約しておくからな!」
「あぁ……何から何までありがとう」
ルークは俺の肩を軽く2回叩き、後ろ向きに手を振りその場から立ち去った。
こんな経緯があって俺達は温泉旅行に行くことになった。
「レンさん!!早く行きましょうよ!!楽しみですねぇ!!好奇心が湧き出ますよ!!俺初めて温泉に入るんですからね!!」
「お前……行った事無いのか?」
「いやまぁ……山育ちで師匠がうるさくてですね……ヤバイ……過去のトラウマが……いやぁぁあ思い出したくないっ!!やめて下さいぃぃい!!刀で指の間高速で刺していくのはもうやりたく無いんですよぉぉぉ」
バンッ
扉が勢い良く開く。
「アンタ達……うるさいわよ……」
目を擦り扉の前に立っている1人の少女が居た。
「カレンちゃん!!おはようございますっ!さぁ、!!夢の国へ行こうよ!!きっとネズミ姿のマスコットキャラクターが待っているハズだから!!」
「アンタねぇ……」
カレンは扉から数歩歩きシロウの肩を掴む。
「えっ!!何何何!!何か俺悪いことした!?別にカレンちゃんには何も言ってないよ!?」
「温泉旅行……明日でしょ……」
――翌日
「さぁ無限の彼方に行きましょう!!」
広場の噴水前で半裸になり浮き輪を腰につけながら叫ぶ少年がいた。
「もういいよお腹一杯だよ……頼むからボケないでくれ……ツッコミが疲れる……」
「何ですか!?ボケて無いですよ!?温泉入る時はこの格好ってカレンちゃんが……」
カレンは目の色が消えゴミを見るかの用な目でシロウを眺めている。
「いや!?酷くないですか!?今回は俺騙されただけなんですって!!何でそんな目で……やめてっぇ!!そんな目で見ないでっ!!」
うわぁ……惨めだ……
そうこうしていると噴水広場に2人組の男が近付いてきた。
「あれって……ルークさんとナーガさん……?」
「そうみたいね」
ルークはレンに近付き肩を叩く
「見送りに来たよ、レン」
「あぁ……ありがとう。確かナーガの魔法で旅館前までワープしてくれるんだよな」
ルークの後ろにいるナーガが軽くお辞儀をする。
「まぁゆっくり羽を伸ばして来るといいさ。お前にはカレンっていういい仲間が居るんだから気を使う事も無いだろう」
「あっ……あの……俺は?……」
「私は別に……良い仲間何かじゃ……」
カレンは少しうつ向く。
「あの時も……酷い事言って……でも結局こうやってレン達に着いて行ってるし……」
レンはカレンに笑顔で言葉を話す。
「お前は良い仲間だよ……ガイルで最初に出会った時から俺達を信じてくれてたし、その結果協会から出ることになったのにそれでも俺達を信じ続けてくれてさ。俺が元気が無くなっている時も何とか励まそうとワザと自分から悪役を買って嫌われ役に回ったよな。お前は優しいよ。」
その言葉を聞いたカレンは少し顔を赤くしそっぽを向く。
「い、いいから、さっさと行きましょう!」
「あれぇ?カレンちゃん照れてルゥったい痛い痛い痛いィィィい!!脇腹が悲鳴を上げてるからっ!!あっ!プロレス技決めないでぇぇええええ」
「それじゃ送りますね」
ナーガがそう言い地面に手をつける。
「【
レン達の足元には魔方陣が浮かび上がった。
魔方陣からは徐々に光が満ち溢れる。
「んじゃな~レン、カレン」
ルークはそう言い手を振る。
「えっ!?待って!!俺の事無――」
光が魔方陣から満ち溢れ辺りがまばゆく光るとその場からレン達は居なくなっていた。
「ルーク様。ワープしましたよ。」
「あぁ、ありがとうなっ!」
そう言い顔を下に向けルークは歩き出す。
さぁ、
始めるとするか――
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