第10話 混沌の訪れ

「人間よ…この魔界の果てに何用だ…食われにきたのではあるまい…」


悪魔の前には老人が立っていた

「サタンよ…ワシに…更なる力を与えたまえ…この人間界を混沌へと導く力を…!」


「貴様の見返りは何だ?」


老人は手を広げて悪魔に叫んだ

「ワシがこの人間界を混沌へと導いたあかつきにはワシが人間界の王となり!人間界に悪魔を住むことを許そうではないか!」


「人間よ…貴様の望み、聞き届けた。」


サタンは老人に見たことも無い魔法をかけた。

老人はみるみる闇に染まっていく…

「おぉ…これが悪魔と人間を超越した力か…これならば…フフフ…ハハハハハ!」


老人は闇と共にどこかに消えていった。

「サタン様…よろしいのですか?あのような訳の分からん人間何かに力を与えても…」



「アスタロトか…ククク…人間は実に愚かだな…自分の望みの為なら何だってするつもりか…例え仲間をも殺してでも…楽しみだな…」


――魔法協会――

「会長~?どこにいるんですか~?あれ?どこに行ったんだろう~?」


ドーンッ!大きな音が協会に響き渡った

「うわっ!何なんですか!この音!」


おーい!大丈夫かー!

向こうの方から誰かが走ってくる。

「おお!ゼッペじゃないですかー!どうしたんですかー?」


「ここら辺から大きな音がしたんでな、来てみたらお前さんがいたってわけだ。」


「S級魔道士様が、私を心配してくれたんですかー?照れますねぇー」


「ち、ちげぇよ!そんなんじゃねぇ!」

ゼッペは顔を赤くした。

「それより会長はどこだ?」


「私も会長を探していたんですが…どこにも居ないんですよね…どこ行ったんですかね…」

キャンディは困った顔をして考えた。


ドーンッ!また大きな音が協会の建物内に響き渡った!協会の魔道士がザワザワし始めた。


「何なんださっきからこの音はよぉ!」

ゼッペが少し怒りだした。

すると途端キャンディは深刻な顔をした。


「ッ!?そんなこと…!まさか協会内に!?」


「おい、キャンディ!どうした!?」


「会長室から…悪魔の気配がします…!会長は大丈夫ですかね!?」


「そんなバカな…!キャンディ!会長室に行くぞ!」


「行きましょう!」


ゼッペとキャンディは走って会長室へと向かった。

会長室の扉越しからはS級魔道士のゼッペでさえ感じたことが無い程の強大な悪魔の気配がした。

「キャンディ…これは…」


「えぇ…これは悪魔の中でも最上級じゃないですか…こんな気配感じたことが無いです…」


後ろから足音が聞こえてきた。

「キャンディとゼッペやん!お前らもこの気配に気づいたんか!」

1人の魔道士がこちらに喋りかけてきた。


続けてさらにその後ろから2人組が喋りかけてきた。

「S級の皆さん、この気配一体…」

「俺達2人も気づきました!」


「S級の一丸じゃないですか!それにそこの後ろの2人組はA級最強のシロとクロ!あなた方もこの気配に気づいたのですね!」


一丸は口を開いた。

「当たり前や!こんな悪魔の気配…仕事でも感じたこと無いわ!それも会長室からや!ゼッペ!これが何か分かるか!」


「分かる訳無いだろ…俺だってビックリしてる…だがここにはS級2人にA級2人、それにキャンディもいる。。。これだけいればどんな悪魔だろうが大丈夫だろ、それに会長の安否も心配だ。」


「せやったらええわ!行って会長を助けたろ!足引っ張らんといてや!」


「ですね!行きましょうS級の皆さん!」

「よろしくお願いします!」


この場に居る魔道士全員が乗り気の中キャンディだけがどこかに不安そうだった。

この悪魔…どこか人間見たいな感じがする…どこかは分からないけど人間の気配も混ざってる…確実に…


キャンディはあることに気づいた!

「あっ!皆さんちょっと待っ…」


一丸は扉を蹴り飛ばした!辺りには物凄い重圧が掛かる!かすかに見える闇の中から人が見える、ゼッペは誰か気づいた!

「会長!大丈夫か!今助けるからな!」


その場に居る全員が闇の中へと視線が向く!

闇が少し晴れていく。

キャンディはおもむろに言った。

「会長…?」


「ワシがこの世界の王となるのだ…」

闇が完全に晴れた!

「ハハハハハハ!会長とはワシの事か?」


「アンタ…本間に会長かいな…まるで」

シロが震えながら言った

「悪魔…」

会長の姿は前の面影は全く無く、

黒く染まった肌、鬼のようなツノ、竜のような翼、巨人のような瞳をしている…


「ワシはこの世界を変える!どうじゃこの姿!この魔力!貴様らには分かるまい!」


「会長も落ちるとこまで落ちたんやな!俺が会長を戻したるわ!」

一丸が変わり果てた会長に突進していった


「待て!一丸!」

ゼッペが叫ぶが遅かった。


一丸の拳に魔方陣が浮かび上がる

「四十聖拳・骨砕!!」


バコーン!!煙と共に壁や屋根など辺りが吹き飛んだ!


「ッ!?そんなアホな…!」

一丸の技は会長に触れること無く会長の目の前で止まっていた。


「やはり常人はこんなものか…弱い…弱すぎる…」


会長が人差し指を下に向けると一丸は地面に叩きつけられた!

「カハッ!」


「一丸!!くそがぁ!!」


「俺達も!」

「行きます!」


ゼッペとシロとクロは会長に襲いかかった!

「ハァァァァア!!」


「弱い…実に弱い…ワシにはこの世界は簡単な用だな…」

会長がそう言い放つと、ことごとく魔道士達を地面に叩きつけた。


「残るはキャンディ…貴様だけだ…」


「そんな!?協会屈指がこんなに一瞬で!?会長…あなたは一体何を…!」


「貴様に話す必要は無い…特別に見せてやろう…これがワシの力だ!」

そう言い放つと会長は空に向かって手を向けた!手のひらからとてつもない程の魔力が空に向かって放たれた!


「何なんですか…これ…」

空はみるみる紫色に染まっていく…まるで世界が終わるかのような黒く重い空になった。


「どうだキャンディ!ワシの力は!」

会長は手を広げ問いかけた


「会長…あなたはやっぱりあなたですね…」

キャンディは手を後ろに隠して何か魔法を唱えてる…


「さらばだキャンディ!貴様はもう用済みだ!死ね!」

会長の手からは闇の光線が放たれた!


キャンディは笑いながら言った。

「はい…さようなら…また会いに来ますね」


ドーン!キャンディがいた地面は黒くなっていた。

「キャンディよ1つ残らず消し炭になったか…これがワシの力か…ハハハハハハ!!」











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