数あるお嬢様との特権
帝王Tsuyamasama
プロローグ 部活もクラスも一緒のお嬢様
「
「うまくできたわ」
「うわーすごーい、全部90点近くだぁ……」
「
美麗と香月がきゃっきゃしているが、二人が受けたテストは簡単な問題に擦り替えられてるんだろうか? 俺のテストの右上や右下に赤ペンで書かれた数字とは少し離れているように思えるんだが。
「
「……なぁ美麗。毎度毎度それ聞いてくっけどさぁ。そろそろそれはいじめの言葉だって気づこうぜ?」
しかし美麗は遠慮なく俺のテストの点数を見始めた。
「得意不得意がはっきり分かれているわね」
「ちっちぇー数字ばっかアルファベットの周りに付けられてもわけわかんねーよぉぉぉ!!」
「でも
「それいっちゃん点数高いやつですからぁぁぁ!!」
(はぁ。テストのない学校に行きたい)
美麗というのは
しっかりした性格と言えば聞こえがいいが、なんか俺はいいように美麗に振り回されているような気がするのは気のせいなのだろうか?
背筋もぴしっとして思ったことをはっきり言う性格で、おまけにおうちは豪華(当社比)。委員会が放送委員ということで体育祭や給食前の放送までやってるし、ご覧の成績であるしで俺らの学年ではかなりの有名人。髪さらさらだし。
香月というのは
穏やか~で優しい~性格なので、美麗にいじめられた俺の心を時々癒してくれる存在。ボランティア委員会所属。
さて。この二人の視線の先に俺である
が。俺ら三人にはある共通点がある。それは部活! みんな吹奏楽部であるっ。ちなみに俺はパーカッション・美麗はフルート・香月はユーフォニアムパートの担当であるっ。
この打楽器ができるっていうのが俺の唯一の特技らしい特技で、これすらなかったら俺は有象無象すぎる存在となっていただろう。いや今でも充分目立たないキャラだとは思うけどさ。
ま、友達は少なくないと思ってるから、別にそれでいいよな! うん!
ちなみに俺は新聞委員会。
授業を終え、部活も終えた俺。今日も左手痛かったぜ……別に『俺の左手が戦いを求めてうずくぜぇぇぇ!!』とか物騒なものではなく、単純にバチ持って練習してただけ。
俺は楽器を片付けて部室を出てぼーっとしていると、
「じゃーなぁー! はぁーーっはっはっはぁーーー!!」
オーボエパートの
「帰りましょう」
「うし」
全校生徒愛用の紺色セカバンを肩から提げた美麗が音楽室から出てきたので、一緒に帰ることに。
このカバンってセカバンセカバン言ってるけど、ファーストカバンを使ってるやつを見たことないんだが……?
紗羽姉ちゃんというのは美麗のお姉ちゃん。みっつ上の高校三年生。なお
俺の右隣を歩く美麗。本日も髪が風になびいてさらっさら。
「もうすぐ夏休みに入るなー」
「そうね」
「俺ら中三ってことは、次の夏の大会が大会の最後だなー」
「雪は練習をちゃんとしているのかしら」
「しとるわいっ。こう見えても三年で、こう見えても後輩教えてんだぞっ!」
「そうね」
少ーし笑った美麗。
「なんだかんだで美麗とも三年間吹奏楽やってきたなー」
「過ぎてみれば早かったわね。雪を誘ったこと、今でも思い出すわ」
「まったく、お願いだなんて珍しいと思ったら部活一緒にやろうぜだったもんな。おじさんおばさんからも誘われたのはびびったぜ」
このびびり度わかる? よその親子から部活勧められるあの感じ。
「一緒にしてくれてよかったと思っているわ。それとも雪はわたくしと一緒だと嫌だったのかしら?」
「んなことはこれっぽっちもないけどさ……」
またそうやって笑うだろ美麗はっ。
「そういうものなのね」
「そうさ! やっぱ
「よくわからないわ」
「どんがらがっしゃーん!」
おっとここで美麗の家に着いた。
「今日もありがとう。また明日会いましょう」
「じゃな!」
美麗はちょこっと手を上げて、でかい門扉を開けて古河原家の敷地に入っていった。
「さーて帰るか」
ということで俺はダッシュで
「はい着いたー」
そう。俺ん
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