七夕

@oragiru

第1話七夕

 「...あちぃな」

なんでこう夏っていうのは暑いんだ。雲一つない青空なんて俺にとっては何の価値もない

七夕に浮かれる7月7日。カップルがデートの口実に使うだけのくそったれな一日だ。彼女なんかいない俺にとってはただの休日にすぎない、、すぎないのだが単純に気に食わない。

クリスマスもバレンタインもそうだ。俺たち非リア充にとってはどれも記念日になんかならないのだ。


イライラしかしないこの気持ちをどうにか抑えようと、ゲーセンにでもと思いそとにでれば夏の暑さという天敵に苦しめられた。

暑さに耐えながらゲーセンにつけばそこはカップルのバーゲンセールといわんばかりの混み方でさらにおれのHPは削れた。


家に戻り重い頭と体(精神的な意味でだ)を引っ張ってベットにダイブ。おれは自分の醜い顔を悔やんだ。

何もないわけじゃない。勉強だってそれなりにはできるし、運動もできなくはない。

世の中は乗り切れても、女には興味すら持たれない。なんでなんでとおもっても

結局顔という結論にしか行き着かない。


女は醜い生き物だ。人の前では「顔よりも中身だよね」なんていい子ぶっていったりするが、そいつにも一定の顔のボーダーくらいある。そこを超えている上での中身だ。たかが知れる。


もっといい顔でうまれたかったと親を恨んだこともあったがそんなのはどうしようもない。俺は不細工。どうしようもないんだ、とあきらめる。いくらあきらめても、また俺はイライラする。


春も夏も秋も冬もおれには優しくしてくれない。同じもの同士で慰めあうことができても、俺のプライドがそれを許さない。俺より下のやつらはたくさんいると心の中で思う。俺より目が小さいやつもいる。俺より鼻がでかいやつだっている。そう思えばこころが楽に軽くなった気がした。そして俺はベットで今の優越感を感じながら、意識を切り離した。




醜い生き物は自分を理解しても納得はしない。そして自分より醜い存在を心の中で作り、卑下する。そして心までもが醜くなっていく。

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