第74話 マッサージと美緒ちゃん先生
「むぅ~!」
「桜先生。今日は早かったですね」
「むぅ~!」
「そうなの。定時になったら他の先生方に無理やり帰されちゃって。もう、パワハラだよパワハラ! 校長先生とか教頭先生まで私に命令してきたんだよ。早く帰って寝なさいって!」
「むぅ~!」
「パワハラじゃなくて桜先生のことを心配しただけだと思いますよ。目の下に隈あるし」
化粧を落としてすっぴんになった桜先生の目の下にはっきりと隈が見える。
先生は大丈夫と思っているのだろうが、周りの俺たちからすると、どんよりと疲労のオーラが漂っているように見える。
今は夕食が終わって後片付けの最中。俺はテキパキとお皿を洗っていく。
家事ができない先生と後輩ちゃんはお茶を飲んでまったりとしている。
「むぅ~!」
「先生。今日は早く寝てくださいね」
「むぅ~!」
「はーい。でも、生徒に言われると複雑な気分」
本当に複雑な表情の桜先生。そして、なんだか気まずそうだ。
後輩ちゃんのことをチラチラ見ている。何かおかしなことがあるのだろうか?
よし。皿洗いが終わった。手を拭いて後輩ちゃんと先生の近くに座る。
自然と後輩ちゃんが俺の脚の間に座ってきた。手を掴んでお腹に回される。ふにふにして気持ちいい。
「むぅ~!」
「あ、あの~宅島君? 山田さんが睨んでくるんだけど…」
「気にしないでください。欲求不満だそうです」
「わ、私すぐ帰るね」
真っ赤な顔をして慌てて帰ろうとする桜先生。仏頂面の後輩ちゃんが帰ろうとする先生を止めた。
「美緒ちゃん先生帰っちゃダメです」
「えっ? でも、私お邪魔だし……」
「美緒ちゃん先生、先輩。私について来てください」
そう言って立ち上がった後輩ちゃんは、俺と先生の腕を掴んである場所へ案内する。
そこは俺の寝室だった。
ドアを開けてベッドが見えた瞬間、桜先生が真っ赤な顔をして抵抗を始める。
「だ、だめ! 私たち生徒と先生なんだよ! それに三人でなんて! ふ、不潔です!」
言葉では抵抗するけど、何故か後輩ちゃんの腕を振りほどこうとしないし、部屋から出て行こうとしない。
むっつりの先生は想像力が豊かだ。男性経験ないのに。
後輩ちゃんにベッドに押し倒された先生は覚悟を決めて目を瞑る。
ベッドの脇に立った後輩ちゃんが、目を据わらせて先生を指さす。
「先輩。ヤッちゃってください」
「ゴ、ゴクリ」
「後輩ちゃん何をするんですか? 返答によっては、これからの付き合いを考えないといけないのですが。それに先生『ゴクリ』じゃないです。悲鳴を上げたり抵抗してくださいよ」
「でも……」
「でもじゃないです!」
「先輩! さっさと美緒ちゃん先生にしてください! マッサージを!」
「マ、マッサージ? それっていかがわしいマッサージ!? だ、だめ! 私たち生徒と教師なんだよ!」
言葉では拒否するけど、満更でもなさそうな桜先生。
そう言えば、桜先生がもっていたエロ本に教師と生徒の禁断の関係の本が少しあったなぁ。もしかして、桜先生ってそう言う性癖の持ち主?
後輩ちゃんが桜先生の身体を押さえ込む。
「早くマッサージして先生を蕩けさせてください。先輩のマッサージは気持ちよすぎて、疲労なんかあっという間に吹き飛びますから! まあ、すっきりとした疲労はあるかもしれませんが」
「ひぇっ!?」
「先生。そんな期待顔されても困るんですが。普通のマッサージですよ。今まで後輩ちゃんにしたことあるのは。ただ単純に疲れきった先生のことを心配しているだけですからね、後輩ちゃんは」
「山田さん……」
感極まった桜先生が涙目で後輩ちゃんのことを見つめる。
だが、俺は上げてから落とす。
「まあ、建前上は……んで? 後輩ちゃん本音は?」
「美緒ちゃん先生の豊満な我儘ボディを揉みしだいて、ムラムラ度上昇、興奮MAXになった先輩を私が癒してあげようかなぁって……はぁっ!? つい口が滑ってしまった! これが誘導尋問ってやつですね!?」
「違うと思うぞ。桜先生。後輩ちゃんってこういう残念なところもあるんです」
「まあ、これはこれでいいんじゃないかしら? 私は可愛いと思う」
俺も可愛いと思う。
「な、なんですか残念って! もう! 先輩! 美緒ちゃん先生を揉みしだいてください!」
「マッサージでしょ? 私はいいわよ。許可します」
「先生、いいんですか?」
人のベッドに寝転んでリラックスしている桜先生。コクコクと頷いている。
前に俺のベッドで後輩ちゃんとお昼寝してたけど、普通異性のベッドに寝ないからね? この先大丈夫かな? 変な男に騙されそうで怖いんだけど。
まあ、マッサージする約束はしてたし、許可も出たことなので頑張っていきますか。後輩ちゃんもベッドに座って様子を観察してるし。
「では、失礼して足からマッサージしていきますね。痛かったら正直に言ってください。我慢しても筋肉を傷めるだけなので」
「は~い」
もう少し俺に警戒してほしいくらいリラックスしているなぁこの人。
先生の服装がジャージのズボンでよかった。スカートだったら危なそうだ。
というか、先生ってよくジャージ姿なんだけど。他に洋服持ってなかったっけ? 洗濯したときは……普段着はあまり見かけなかったな。
「先生? ジャージ姿が多いですけど、普段着あんまり持っていませんでしたよね?」
「ん? 家ならジャージが楽でしょ? 外に出ないときはパジャマでいるときも多いし」
「………先生。超インドア派の私でも流石にそれは無いです。今度お洋服を買いに行きましょう、先輩も連れて」
何故か俺も行くことになっているらしい。後輩ちゃんは一人では外に出ないからなぁ。
「いいわよ~。あぁ~気持ちいい~。極楽極楽」
「だいぶ疲れがたまっていますね」
「えぇ~そう? はふぅ~」
「先輩わかるんですか?」
「後輩ちゃんも触ったらわかるよ」
「では失礼して………………おぉ。何となく硬いです」
先生の筋肉は疲労が溜まって硬くなっている。後輩ちゃんの脚と比べたら一目瞭然だ。
まあ、人によって筋肉の柔らかさは違うけど。足でこれなら腰や肩も疲れが溜まっていそうだ。
俺は先生のふくらはぎや太ももを、ゆっくり優しくじんわりと揉みほぐしていく。
生徒たちから絶大な人気を誇る桜先生をマッサージしているのか。男子にバレたら殺されるな。
それに後輩ちゃんと違って大人の女性って感じがする。役得です。
「ふぅ~。宅島君マッサージ上手だねぇ。山田さんをいつもマッサージしてるの?」
「後輩ちゃんには時々してますね。まあ、小さい頃から妹にお願いされてよくマッサージしてましたから、それで上手くなりました」
「へぇ~。ひゃうっ!? そ、そこはお尻だよ!? ひゃんっ♡ テ、テクニカルに撫でまわさないで!」
「せ、先輩ダメです! ダメですってば!」
「撫でてるのは後輩ちゃんだろうが! 俺のせいにするな!」
先生のお尻を撫でまわしていた
「ウチの後輩ちゃんがすみません」
「い、いえ。気持ちよかったのでお気になさらず」
そ、そうなのか。気持ちよかったのか。心臓に悪い情報を言わないで欲しい。
チョップの痛みから立ち直った後輩ちゃんは、胸を張ってドヤ顔している。
「女子とわちゃわちゃしてたら自然とこんな技術は身に付きますよ! 反撃しないと一方的に触られるので! やり返してたら上手くなりました!」
「聞きたくなかったぞ、そんな情報」
「あぁ~私も女子生徒たちによく揉まれるなぁ。無駄にいやらしくて上手なんだよね、手つきが」
「聞きたくなかったです、そんな情報」
「少なくとも、ウチのクラスの女子は全員セクハラエロ親父です」
「………………その情報は知ってる」
俺もクラスの女子たちにいろいろされたからなぁ。ガクガクブルブル…女子って怖い。
「というわけで、私も先生をマッサージしますけど、気にしないでください。先輩も本気出してくださいよ!」
「ほ、本気? 本気じゃなかったの?」
「先輩の本気のマッサージはすごいですよ。普通のマッサージなのにすごいです。すごいしか言いようがありません。癖になっちゃうくらいすごいです」
「で、ではお願いします」
「俺はしたくないんですけど……」
ふ、二人ともウルウルとした瞳で見つめないで! 美女と美少女にそんな目で見られると逆らえないから!
「………………後悔しないでくださいね」
俺は本気のマッサージを施した。
今まで普通に気持ちよさそうにしていた美女が嬌声を上げてピクピクし始める。
終わる頃には18禁になった。ガクガクピクピクしている大人の美女。
それを見て、顔を真っ赤にして息を荒げた美少女もおねだりし始めて、終わる頃には18禁になってしまう。ガクガクピクピクしている美少女。
なぜこうなるのだろう? 普通のマッサージしかしていないのに。
俺は理性を総動員させて、ベッドで横たわる二人から視線を逸らし、シャワーを浴びに行った。
後輩ちゃんが言った通り、本当にムラムラ度が上昇して興奮がMAXになってしまった。
よく耐えた俺。よく我慢した俺。俺ってすごい!
自画自賛しても許されるだろう。
冷たいシャワーを浴びながら俺は思う。
二度と本気のマッサージをするもんか!
でも、二人同時のおねだりに抗うことは出来ませんでした。
週一で理性が試されることになりました。
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