VRMMOで知り合った彼女がネカマのギルドマスターに寝取られていた
はな
#01 選ばれし者
世界初のVRMMO【Disappearance of Memory】略称【DOM】は俺が中学3年の時の夏に発売された。
ゲームの剣と魔法によるファンタジー世界を、この身で体験できることに俺はワクワクが止まらなかった。
あれは運命だと思ったね。俺はすぐにVRヘッドセットを買うべくゲームショップに向かったのを今でも覚えている。
現実の名前の『東雲しののめ 空そら』を単純に英語にした『スカイ』というのをプレイヤー名にして、種族は『人間』でDOMを始めたんだ。
最初はファンタジー世界を体験することだけが目的だったのだが、初めてのVRMMOで他のプレイヤーと遊ぶ楽しさにどっぷりとハマり、気が付けばDOM有数のトッププレイヤーになっていた。
課金要素の無いDOMは、経験値とお金が貯まるのが異様に遅く、プレイする時間が多ければ多いほどレベル上げや金策に時間が使えるので、プレイ時間に比例してキャラクターが強くなる仕様だった。
部活を引退したこともあり、時間が有り余っていた俺は1日中DOMに入浸り、自らのキャラの強化を欠かさなかった。
その結果、毎日フレンド申請や、ファンレターが届くほどのトッププレイヤーになったというわけだ。
『なあ、スカイならあのSSS級ギルド《セレスティアス》に入ることが出来るんじゃないか?』
仲の良いフレンドにそんなことを言われたことがきっかけで、トッププレイヤー達が集う、SSS級ギルドのうちの1つ、セレスティアスの入団テストを受けてみる。
結果は合格。
晴れて、セレスティアスのメンバーの一員として加わったのであった。
俺の高いPSとステータスの強さを見て、ギルドメンバーに驚かれ、少々照れ臭かったのを覚えている。新入りにも関わらず、みんなから頼りにされ、すっかりギルド内の人気者となり、毎日が楽しくてしょうがなかった。
◆
『おかえり、スカイ』
俺がログインしたら欠かさず、フレンドチャットで声を掛けてくれる彼女。
『ただいま、アリサ』
俺も同じように挨拶を返してやる。
俺がDOMを続けている大きな理由がもう一つあった。それは、DOM内の彼女『アリサ』と会うためだ。
アリサとは、最初の村のボスを倒すとき、一緒にパーティを組んだのがきっかけで知り合った。それから俺たちはフレンドになって、フレンドリストで見かける度、よく一緒に遊ぶようになっていった。
DOM内では相方という文化が流行っていることもあり、俺とアリサで一緒に相方にならない? という話から始まり、恋人にまで発展したのである。年齢を聞くとなんと同い年。何か運命の糸で結ばれているんじゃないかって思ったりもした。
仲はさらに深まり、SNSでお互い顔を見せ合ってみると、今までに見たことが無いくらいの美少女。しかも、今までに彼氏が出来たことが無いんだとか。これはまたとないチャンス。ドキドキしながらも、俺は人生初の告白ってやつをしてみたんだ。
「俺、アリサのことが好きだ。付き合ってくれないか?」
「私もスカイのことが好き。私で良ければ喜んでっ」
まさかの大成功。人生こんなうまくいっていいのかと思った。アリサの住んでいる場所は秋栖町ってとこで、俺の住んでいる場所とは少し離れているけど、行けない距離じゃない。高校生になったら夏休みに会おうねって約束をして、毎晩寝る前に一緒に通話をしたりした。デートはゲーム内でする。こんな青春があってもいいと思う。
どうせならギルドもアリサと同じが良いねってことで、ギルドマスターに頭を下げて頼み込み、同じギルド、セレスティアスに一緒に入れてもらった。
それから、ギルドメンバーと彼女のアリサと一緒に最高に楽しい幸せな毎日を送って、これからもこんな幸せなDOMライフがずっと続いていくんだと信じて疑わなかった。
だが、そんな俺を良いように思っていなかった人物が一人いた。本当は俺よりもギルドで最も注目されるべき人物。
そう、ギルドマスターだ。
俺がアリサをギルドに入れたことにより、全てが狂い始めた。
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