イヌ科時代の愛歌

Charley

0.プロローグ

 人間。それは、大抵の場合において、

2種類に分けることができる生き物である。



男・女。



やる奴・やらない奴。



授業中ノートに落書きをする奴・しない奴。



そして……



イヌ科である人間・イヌ科でない人間。



そう、この世界には「イヌ科人間」と

呼ばれる生き物が存在するのだ!


 大袈裟にイヌ科人間とは言うものの、

イヌ科でない人間との違いは

せいぜい身体能力と外見位である。


詰まるところ、「人間に毛が生えた程度」

の存在なのだ。


 不思議なことに、彼らが何故、

どうやって、何処から現れたという事実は

歴史上全く記録されていない。


その事について、何処にでもいるお偉いさんに聞いてみよう。

大抵はこう返ってくるはずだ。


「コウノトリが運んできたんだよッ!」



…………失礼。



真面目に解説すると、昔の賢い科学者が、

将来起こりうる世界的な高齢化に

備えて、労働力として作った改造生物

なんじゃないかという説が一般的である。


しかし、ここでいくつかの疑問が生じる。



「なぜ、彼らがイヌ科人間である必要が

ある?」



「身体能力の高い動物なら他にいくらでも

いるぜ」



「なんなら猫耳美少女の方が断然いいね」



他にもあるが、多数(と思われる)派の意見を

ここに3つ挙げた。


ーー残念ながら、現在これらの疑問に答えることはできない。


しかし、答えられるように努力することは、決して不可能なことでは無いはずだ。



「なぜ、イヌ科人間である必要があるか」



これから皆さんが目にする男達。


彼らがこの疑問を解き明かすかもしれないし、明かさないかもしれない。


世の中に絶対など存在しないのだから……!

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