第76話 村長との話
「じゃあ、私の家まで行きましょう!」
そう言ってマリーは私の腕を掴んでくる。
「マリー、ちょっと村長と話したいことがあるんだ。終わってから行っても良いか?」
「村長と?」
「あぁ。」
「んー。……分かりました。じゃあ、待ってますので、絶対に来て下さいね!私の家は、村長の家から左に三軒隣だから!家の前に、赤い花の花壇があるから、すぐに分かると思います!」
「分かったよ。マリー。」
微笑んで言うと、マリーは嬉しそうに帰っていった。
それを追うように、セルジは私を一睨みしてから出ていった。
そして、村長と2人になった。
「話したいことがある、とは、どんなことですかな?」
「村長は、ナディアと言う人を知っていますか?」
言うと、村長は驚いた顔をした。
「ナディア!?なぜ貴方がナディアの事を!」
「ご存知なんですね?」
「勿論です!私はナディアの娘婿です。」
「っ!そうだったんですね!」
娘婿と言うことは、ナディアの娘は生きていたんだな。
ヘクセレイの街と、この村とは近いとは言えないとしても、そんなに遠くはない。
ヘクセレイの街からだとすれば、10日程で来れる距離だ。
それなのに、何年も会うことが出来なかったなんて……
「魔法の街と言われる、ヘクセレイの街をご存知ですか?」
「いえ…分かりません。」
「この村から、そんなに遠くはないのですが。」
「ご存知の通り、この村は閉鎖的です。外部との交流は一切遮断しております。それは、この村を守る為に仕方のないことでしてな。」
「マリーから聞いています。」
「若い子らには分からんだろうが、昔別の場所にあった村が滅ぼされましてな。」
「えぇ。ナディアから聞きました。」
それから、ナディアと話した事を村長に話した。
村長は時折涙を浮かばせながら、私の話を聞いていた。
そして、最期の時の事も……
一頻り聞いて、村長は目を潤わせながら、
「ありがとうございます。ナディア……義母の事が聞けるとは、夢にも思っていませんでした。」
「いえ…それと、もう一つ聞きたい事があります。」
「なんですかな?」
「私の母は、銀の髪をしています。」
「?!」
「急に私の前からいなくなったので、母を探して旅をしています。」
「は、母親の名はなんと?!」
「ラリサです。」
「ラリサ……」
村長は考え込んで、はっと顔を上げて
「ダレルとキアーラの娘か?!」
「私には祖父母の名前は分かりませんが……母の事を知っていたんですね?」
「ああ、生きておったのか……」
「教えて頂けますか?母の事を……」
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