第81話 告白
こんな展開になるとは思いもしなかった……
なるべく魅了の効果が出ない様に、魔力を制御しているつもりだが、それでも無理なのか?!
この村の人達には打ち明けてしまっても良いのかも知れない。
私と同族で、私の異能が発揮しないのであれば……
「マリー……」
「はい、アシュレイ様!私、貴方に何処まででもついて行きます!」
「マリー……私は女なんだ。」
「はい?」
「私は男ではない。」
「は?」
「お、おまえっ!苦し紛れの嘘をつくなよっ!」
「本当だ。」
「嘘よ!嘘でしょ?!アシュレイ様!」
「嘘じゃないぞ!アッシュは女の子だぞ!」
「それは本当ですか?!アシュレイさんっ!」
「本当です。お父さん。」
「君にお父さんと言われる筋合いはない!」
「あなた!そうじゃないでしょう?!」
「アシュレイ様!私、信じません!」
「いや、信じないと言われても……」
「なぜその様な格好を?」
「幼い頃から、私は男の子の様に育てられました。なぜなのか私も詳しい事情は分かってはいませんが、私が女なのは事実です。」
「嘘よぉーっ!信じられないわー!」
泣きながらマリーが私に抱きついてきた。
「ほら、だって、胸がないもの!」
「それは!布を巻いてっ!」
恥ずかしいっ……!
「マリー、落ち着きなさい。アシュレイさん、実はこの村は温泉が沸いているんです。マリーを納得させる為にも、良かったら私達で温泉に入るのはどうでしょうか?」
「……はい、それで構いません。」
急に大人しくなった男達……
「じゃあ、あなた、私達は温泉に行ってきます。」
「あ、ああ……」
そんな訳で、マリーと母親と私と3人で、温泉に入る事になってしまった。
「じゃあっ、アシュレイ様、着替えは私のを使って貰うって事で良いですかっ?!」
「あぁ、それでいい。ありがとう。マリー。」
「うぅっ!こんなにカッコいいのにぃっ!!」
そうして用意を持って、温泉に向かった。
村の奥、牢屋があった近くに温泉があった。
脱衣場で、一つ一つ、装備を脱いでいく。
まず、ブーツを脱ぐと、少し背が縮んだ。
革手袋を外す。
外套を脱ぎ、首に巻いた布を外す。
腰のベルトを外し、短剣と鉄の剣を置く。
肩当てを外すと、華奢な肩が出てきた。
胸当てを外す。
上と下の服を脱ぐ。
胸に巻いている布を外す。
その様子を、マリーはマジマジと見続けていた。
同じ女だが、見られるのは恥ずかしいものだな……
そうして、身につけているのは首飾りだけになった。
それを見たマリーは
「……キレイ……ボディラインも完璧ですね……」
そうポツリと呟いた。
「本当に……こんなに美しい
スッゴい恥ずかしいっっ!
母以外に見られたのは初めてだ!
「お、温泉に入りましょうっ!」
そうして、3人で温泉に入った。
体を洗い、3人で湯に浸かりながら話をする。
「なぜ男の子にしたのかしら……?」
「母には母の考えがあったんでしょう。」
「本当に勿体ないわ。こんなに美しいのに、それを隠してしまうなんて。」
「昔はよく連れ去られてしまいそうになりました。」
「そうだったのね?!それじゃあ仕方がなかったのかも……」
「私はアシュレイ様が女でも好きだけどなぁー……」
「そう言ってくれるのは嬉しいよ。ありがとう。マリー。」
「はぁぁっ!分かっていても胸がキュンってしちゃうよぉー!」
「私は魔力が多くて勝手に瞳に魅了が付与されている様なんだ。なるべく魅了がかからない様に魔力制御を心掛けているんだけど、それがちゃんと出来ていないのかも知れないね。それで私の事が良く見えているのだとしたら、それは私の魔力がそうさせているんだ。そうであれば、申し訳ない……」
「私は顔だけで好きになったんじゃないです!もちろん、顔も大好きですけど、アシュレイ様の、その紳士な感じが、たまらなくハマっちゃったんです!」
「そ、そうだったのか……?!」
「これマリー。アシュレイさんを困らせるんじゃありません。色々事情がおありなのに、うちの娘がすみません。」
「いえ、貴重な経験です。こんな風に、他の誰かと温泉に入る事ができるなんて、本当に夢のようです……」
微笑んで言うと、
「今まで大変なご苦労があったんでしょうね……」
「アシュレイ様ぁー!」
目を潤ませて、またマリーが抱きついてきた。
裸だと恥ずかしいのが増す!
そんな事を話ながら、ひとときの楽しい時間が過ぎていった。
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