第51話 自分の力


この街の中心辺りにある宿をとった。


今は昼を過ぎた頃。


久しぶりのベッドで体を休める。




自分の体で出来る事を、もう一度考える。




赤い石の力


魔素をコントロールできる。

魔素を自身の体に取り入れる事ができる。

魔物の魔力を奪う事ができる。

恐らく、人や人以外の魔力も奪う事ができる。




黄色の石の力


他の石のある場所がわかる。

鑑定ができる。

見るだけで魔法を発動することができる。

遠くの物まで見ることができる。

遠くの音を聴くことができる。

少量でも匂いが分かり、少しの毒でも見つけられる。

食べた物の材料がすべて分かる。




緑の石の力


傷を治す事ができる。

病気を治す事ができる。

人だけではなく、創造物も治す事ができる。

広範囲に魔法を発動できる。

自己を治癒する魔法が常に発動している。




右手の力


人の過去と未来を見ることができる。

手袋等で力を弱めることができる。




左手の力


私の事が記憶から無くなる。

魔法と合わす事で相乗効果を発揮する。




目の前に左手をかざして見る。




特にこの力がある為、私は人に触れられない。


今まで仲良くしていた人達が、触れた瞬間、私の事が分からなくなるのだ。




私の相性の良い系統魔法は【闇】と【光】の、相反する2つの魔法だ。


他の魔法も問題なく使えるが、体に馴染みやすいのはこの2つだ。


と言うか、体から滲み出ている事がある。


とくに普段気を使っていないと、左手には闇魔法が勝手に付与されている。

一番闇魔法が強く出てくるのが、なぜか左手なのだ。


これに気づく迄、左手で触った人は私の事が分からなくなるばかりではなく、恐ろしいモノにでも見えるかの様に、恐怖でその場から逃げ出していた。

気づいてすぐに制御したら逃げ出される事はなくなったが、結局は私から皆離れて行く。


そして、これも制御し続けないと困るのが、瞳に現れる光と闇の魔法だ。

どうやら2つが合わさって、魅了の効果が勝手に付与されているようなのだ。


この付与は最近判明した事だが、勝手に発動する魔法を制御するのは、本当に凄く疲れるのだ。

なるべく目が見られない様に、髪を伸ばす等した方がいいのか……





あの日の事を思い出す。




イルナミの街で、回復魔法を発動させたとき。




あれは、実は回復魔法と闇魔法を合わせて発動させていた。


魔素を集めて、回復魔法と闇魔法を身体中から発動させ、徐々に魔素を分散させて、街全体に魔法が行き届くようにした。


街の皆の記憶をコントロールしようと考えたが、闇魔法だけではどの様な結果になるのか分からなかったので、得たばかりの莫大な回復魔法の力と合わせて発動させたのだ。


ただの回復魔法にしかならなかったかも知れないが、上手くいけば脳に負荷がかからず、幾日かの記憶が無くなるかも知れなかったからだ。


前に、闇魔法で脳に働きかけて数日間の記憶を無くさせた事があったので、それが出来ればあの街にはこれ以上の災難が降りかからないと考えたのだ。


上手くいったかどうかは、あの後すぐに旅立ったので分からず終いだったが……





クオーツには、左手に少し光魔法を這わせ、私の記憶を消した。


光魔法が少し残った状態だったから、頭にモヤが掛かったような感覚があったとは思うが、少ししたら通常に戻っていく。


あの場所でレクスを再度確認させる訳にはいかなかったからだ。





そしてレクスは……

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