第29話 騎士の動向


今日もダンジョンに向かうか。



次の街に行くまで何日かかるか分からないから、稼げるときに稼いでおかなければな。


宿の1階にある食堂で朝食をとる事にする。


そこには、昨日受付で見た騎士達もいた。


騎士達は口々にここの食事が不味い等と言いながら食べていた。


私もだが、他の客達もあまり良い気はしないのか、嫌そうな顔をしながらも関わり合いになりたくはないので、チラチラと見ながらも誰も文句は言わなかった。


私も注文して食べたが、どれも美味しいと思えるモノだった。


恐らく、こんな田舎まで来させらた事に苛立って、何か言わなければ気が済まないんだろう。


しかし、言われた方はたまったもんではない。

料理人は苛立った顔をしてたし、給士はオロオロした感じで料理人と騎士達を交互に見ていた。




「黙って食べなさい。失礼ですよ。」




そう女騎士が一喝すると、急に静かになった。


彼女が一番偉いのか。


横目で見ながら、私は早々に食事を終わらせて出て行こうとする。


会計を済ますときに給士に


「ご馳走さま。美味しかったよ。」


といって微笑んだ。


「あ、ありがとうございます!」


給士はホッとした顔になって深くお辞儀をした。


無駄に人を傷つける必要があるのか。

そう思うと、騎士達の行動が腹立たしくなってくる。

そう思う気持ちが態度に出ていたのか分からないが、騎士の1人に呼び止められる。




「おいお前。ちょっと待て。」


言われて私は振り返る。


「なんだ?」


「この街に病人だか怪我人が、急に元気になったって言う噂を聞いた。

お前は何か知らないか。」


「私は旅人だ。

この街に来て数日だから、よく分からないな。」


「そうか。何か分かれば知らせてくれ。」


軽く会釈をしてその場を去った。




騎士達がこの街に来たのは聖女探しの為なのか?




もしかして、それは私のことなのか?




ふと嫌な考えが頭をよぎる。




何事もなければ良いのだが……







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