第10話 冒険者クオーツ

レクスが帰ってから、一人で酒を飲みながらクオーツを待つ。


レクスとの食事は、とても楽しかった。

一人になった今、少し寂しさを感じた。



ダメだな。

こんなことでは……



段々客が増えてきた。

仕事終わりでやって来たんだろう。


客達は私を見るなり、一瞬足が止まる。

知らない顔がいるのは、この街では珍しい事らしい。

物珍しい感じで見られるのは慣れている。

仕方のない事だ。


クオーツの特徴は、茶色の短髪に、頬に怪我のあるヤツとのこと。

武器は大きな銀色の剣で、大きくガッシリした体格にちょうど良い大きさだそうだ。


今日ここに現れなったら、朝早めにギルドに行って待ってみるか。


そう思っていた時、クオーツらしき男が店に入ってきた。

どうやら運が良かったようだ。


クオーツが席について注文を終えたあたりを見計らって、私はクオーツの席に行った。



「ちょっといいか?」


「ん?誰だおまえ。見ない顔だな。」


「旅をしててな。今日この街に来たんだ。」


「そうか。何か用か?」


「聞きたい事があってね。貴方がクオーツか?」


「そうだぜ。俺がクオーツだ。話があるんなら今日は俺一人だし、一緒に飲まないか?」


「あぁ、そうしよう。」



そう言ってクオーツの前に座った。


クオーツは少し嬉しそうな顔をしている様だった。

他のヤツは何だか悔しそうな顔をしている。

冒険者と言うのは感情が激しいのかも知れないな。


おかみが私が座っていた席から酒を持ってきてくれた。

サービスがいいな。



「で、何が聞きたいんだ?」


「さっきまでレクスと言う少年と一緒にいてね。

彼から貴方の話しを聞いたんだ。」


「あぁ、レクスか。

あいつにはよく装備を磨いて貰ってるぜ。

丁寧に仕事してくれるから助かってんだよ。で、俺のどんな話しを聞いたんだ?」


「ダンジョンで、普段は無いはずの道を見つけたって話だ。」


「あ、そうなんだよ!俺は本当に見付けたんだぜ!信じてくれんのか?!」


「あぁ、是非詳しく話しを聞きたいって思ってね。」


「誰も信じちゃくれねぇんだよ。

あの後も何度もそこに行ってみたんだけどな、あの細道は結局見つからなかったんだ。

でも、嘘じゃねぇぜ!

本当にあったんだぜ!」


「分かってる。

だから詳しく話しを聞かせて欲しい。」


「おうよ!」



そう言って、クオーツは話してくれた。




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