第11話 ファレスの悩み

 俺達は今ダンジョンの10階層。つまりボス部屋にいる。本当ならこの部屋のボス、ミノタウロスとファレス達を戦わせる予定だった。だが今日は俺が無理そうだと判断し、俺がミノタウロスの相手をする事になった。まあ直ぐに倒したけど。


 この10階層に来たのは薬草採取のためだ。何故だかボス部屋には草やコケといった植物が生えている。この明かりが関係しているのだろうか。まあ詳しい事は分からないがこの部屋の何かが関係しているという事は確かだろう。


「ライトの旦那〜この草でいいのか?」

「ああ」

「にしてもこんなんが魔物避けになるとはな〜」

「見た目はただの雑草だけどな」


 そう言えばファレスの様子が少しおかしいんだったな。すっかり忘れていた。大した悩みじゃなきゃいいんだが·····。そう言えばベイトさんは俺の悩みをいつも聞いてたな。俺に出来ることはそれくらいだろう。


「ファレス、お前なんかあったのか?」

「なんかってなんだよライトの旦那」

「お前らが俺のいた階層に落ちる前に何かあったんだろって事だよ」

「·····そ〜ゆうことかよ。流石ライトの旦那だな」

「で、何があったんだ」


 ファレスは苦虫を噛み潰したような顔をしている。やはり知られたくない事なのだろうか。


「実はな、俺らがこんな下の階層に落ちたのは俺のせいでもあるんだよ」

「俺のせいって、どうゆう事だ」

「·····まあ簡単にゆうと見栄を張ったってとこだな」


 それからファレスはそのわけを俺に話してくれた。どうやらファレス達は自分達の実力を試したくてダンジョンに潜ったらしい。そしてファレスは1人周りも見えず、1人で突っ走り何度もパーティを危険な目に合わせた。これまではそれでも何とかやってこれた。だが今回は前程の危険とは比べ物にならないものだった。またしてもファレスはパーティを危険に晒してしまった。その責任を感じているのだ。



 俺が見る限り、ファレス達の実力では8階層を過ぎると魔物に敵わなくなってしまう。この前のオーガだってたまたま弱いオーガにたまたま勝てただけだ。つまり運が良かっただけなのだ。それはファレス達が1番分かっているだろう。

 要は自分勝手な感情でパーティを危険に晒した。それを悔やんでいるという事だろう。



「なるほどな。だがよファレス、それは少し気にし過ぎだと思うぞ」

「気にし過ぎ?」

「ああ。パーティは迷惑掛けてなんぼだろ? それを支え合うのがパーティだ。もしお前がお前の選択を悔やんでいるのなら言葉じゃなく行動で示せ。まあ要は強くなれってことだ」

「え·····と、怒ったりしないのか?」

「なんで俺がそんなに面倒なことをしなきゃならないんだ」

「·····はは、確かにそうだよな。それでこそライトの旦那だよな」



 ファレスはどこか晴れたような顔をしていた。

 俺の言葉が役に立ってよかったな。途中俺も自分が何言ってるかわかんなくなってたけど·····。てかほんとに大した悩みじゃなかったな。心配して損した気分だ。



 俺達は薬草を採取し、その日は終わった。

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