第2話 首を洗って待っていろ!
俺が家から引きこもってから半月が過ぎた。
俺は等々あいつらと向き合うことに決めた。
「お、おいお前ら」
久々に声を出したので声が裏返った。
だがそんなことは関係ない。今はそんな事よりも大事な事があるのだから。
「なんだライトか。今まで何してたんだ。心配したんだぞ」
「そうよライト。恋人の私にまで内緒で」
「うるさい! 俺に触るな!」
フライデが俺に触れようとしてきたので俺はそれを払いのける。
「この裏切りもんが!」
「おい! 何やってんだよ!」
「何やってんだよはてめぇだよカイロ!!」
俺は1ヶ月前の事を全て話した。俺が目撃したことを全て。怒りをぶつけながら。
「あ〜見られてたのか」
どんな言い訳をするのかと思えばなんだその態度は。俺は開き直ったカイロの態度に腹を立つ。当然だろう。
「お前には刺激が強すぎたかな? まあお前にフライデは勿体ないからな」
「ちょちょっと·····ライトが、見てる」
「ふふ、別にいいだろ?」
2人は口付けを交わす。1ヶ月前と同じように何度も。
俺はカイロ目掛けて殴りかかる。ーーが、軽く避けられ反撃される。
「お前が俺に喧嘩で勝てたことがあったか? 俺は剣士になるんだぞ? 勝てるわけないだろ」
カイロは昔から強くて俺のあこがれだった。大人になったら冒険者になると言っていた。最近では知り合いの冒険者に剣を教えて貰っているらしい。全くクソッタレだよ。
「ま、お前には1・0・年・早・い・んだよ。フライデも俺に勝つのも」
俺はそれから散々罵倒された。だがほとんど覚えていない。心が折れていたからだ。それから何度もボコられた。
「そうだ、親友のお前にいい事を教えてやる。今から大体2年前か? お前の母親が事故で亡くなったのは」
「だったら·····なんだって言うんだ」
「実はな、あの事故は事故じゃないんだ。お前の母親は殺されたんだよ。この俺にな」
「ーーは?」
カイロが言っている事の意味がわからない。
確かに俺の親は事故で死んだ。それが事故じゃなくてカイロが殺しただと?
「笑いを堪えるのに必死だったよ。お前の母親ったらお前が怪我したって言ったら慌てて飛び出していくんだもの。後は崖から突き落とすだけだったよ」
「う、嘘だ·····ろ? なあカイロ、カイ·····?」
「ハァーハッハッハー、生憎嘘じゃないさ。俺はこの瞬間の為だけに殺ったのだから」
「な·····んで。なんで·····母さんを」
カイロはフライデに聞こえない声でそれを俺に伝えた。俺は怒りに身を任せ
「どうしたのカイロ?」
「ん、なんでもない。俺のフライデ」
「あっフラ·····フライデッ」
俺はフライデに手を伸ばす。こいつがどんな奴なのか、伝えないと。
だが、俺の手はカイロによって弾かれた。
「俺の女に気安く触るな。·····そんなんだから母親を失うんだぞ」
俺の中で何が壊れる音がした。壊してはいけない何かが。
そして2人は俺の目の前で行為を始めやがった。
俺はボロボロの身体を引きずりながら家に帰った。そしてまた引き篭った。あんな事聞いて普通でいられる訳が無い。
引きこもって3ヶ月程だった。噂によるとカイロはフライデを連れて冒険者になったらしい。どうでもいいと思ったがやはり俺はフライデの事がまだ気になるらしい。なんせ初恋だし·····。
俺は決めた。強くなる事を。この頭にこびり付いた嫌なものを消すために。
無けなしの金で剣を買った。それから毎日剣を振った。森にも行った。何度も死にかけた。魔物とも戦った。そりゃ死にかけた。
全ては母さんの仇を討つために。
俺は知った。復讐心が俺を強くしてくれたことを。俺の原動力になってくれた事を、勇気をくれた事を。少しは変われたか? 変われたなら感謝しなくちゃな。
「母さん·····待っててね。必ず強くなるから」
あの出来事があった日からちょうど1年がたった。等々旅立ちの日だ。俺は強くなったがまだまだだろう。まだオークを倒せるレベルだ。そんなやつはいくらでもいるだろう。
俺はもっと強くならなくては行けない。あいつに復讐するまではな。
俺は進んだ。強くなるために。復讐の為に。
「首を洗って待っていろ!」
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