第106話 阿修羅王

「 阿修羅王 」


ある作品を読んでいたら悉達多が阿修羅王と

 語りあいこの世界はある意志によってはじ

 められたのかと

わかりません

わからないんですけれど、エネルギーはある

 方向をもっていて、じゃあなんで最初にエ

 ネルギーがあるんでしょう

こんなに膨大に、でしょう、あれば方向は生

 まれるでしょう、意志があろうとなかろう

 と

意志があればうつくしい物語をつづることが

 できる、実際につづられているわけですね

けっきょく、どうしようもない、あとはエン

 トロピー増大則に任せるだけ?なにをでし

 ょうか

高きから低きへと流れる

わたしは一介の生き物として生まれました

ですが悉達多と阿修羅王のいる地平に立ちた

 かったと思います

痛烈に、そんなことは非現実なことで

現実ということでは共通の地平に立っている

 つもりですが

せめてもの

作品のなかでは地平に立ちましょう

意志とは思えない最初の問い、つまり無から

 有が生まれる、これがわからないかぎり、

 大地は不毛です

わたしにはお手上げです

悉達多と阿修羅王の語りを想像する、それは

 せめてもの、わたしのなかで、無から有な

 のかもしれません





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