第101話 栞

「 栞 」


栞?

オレたちの環境?黴臭い、安息なんて、相性

 というか肌感覚というか、わずかに湿って

 いる、挟まれたオレたちも湿っている、気

 持ちがわるい、雨が降っている、空気が微

 動だにしない、湿る耐えるシメル、シメル

 ンダ、シメル耐えるぞ耐える、10秒60

 秒1ヵ月数ヵ月、オーナーが不在で数年で

 気がつくと気絶している、そして、辞令、

 タロウさあ〜んハナコさん

オーナーさんは?

そりゃ、色々です、爪に色を付けた、指の内

 側に肉が溜っているの、毛深いの

我慢我慢〜

栞ってこれでけっこう思考的かも知れないと

 思うときがある、隠れて困らせるとか探さ

 せるとか

黙っていない?

なんでこんなに従順にならなければならない

 のかって

捨てられる?

つまんねえな、こんな一生なんてって言いな

 がら、折り曲げられる仲間ばかりだ

気やすく触ってくれるなってこと?

ちょっとは火傷もするぜって言いたいんだが

 どこまでも主役になれない、なれないんだ

 なあこれがなれない同じ紙で生まれてきた

 のに、なあ、なんて、声は小さいけれど大

 袈裟な愚痴!

 教えてくれよ教えてくれたっていいじゃな

 いか

でも、栞って、一生見たら忘れない文字だけ

 は、当ててくれたみたいだね

だから、それがなあ、優しすぎるから、いけ

 ないんだよ

泣いてるの?

 



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