第46話 演劇

「 演劇 」


舞台から声が届きはじめた

よく見るともうひとりの役者は猫である

頭に付けた髪留めがひかりに反応した


役者たちはどのような会話をしているのだろ

 う

休憩室はきっとあかるいはずだ

必要な言葉しか話せなくなるのを知っている

 から

それを補うために話しているのだろう

喉は歌いつづけているに違いない


赤い衣装と

髪留めが舞台に戻ってきた


( 猫は猫語で会話をしている )


( 路地裏の猫たちは聞き耳を立てているに

  違いない )


( 高層ビルの窓が夜空に反射している )

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