第27話 蚊

「 蚊 」


風ほどあてにならないものはなく

塊となってぶつかってくる

塊といってもそのかたちは見えないし

方向も速さも分量も定まっていない

蚊なんてものは

吹き飛ばされて跡形もない

けれど吹き飛ばされるってことは

風も蚊を無視してはいないってこと

でもかなりのスピードで翅を震わせながら

眼下を見下ろしてみたいなんて妄想を

無数の蚊が持っているとしたら

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