第26話 かまどうま
「 かまどうま 」
死んでいるのかと
右足の靴先でそっと突く
かまどうまは玄関の縁に沿って左に跳んだ
ドアを開けて外に逃がそうか
外は白熱灯のように
月がかがやく夜
室内でよいと
あとは君の思うままに生きるがよいと
君はいずれいなくなる
次の生命に出会うまで
わたしは家族に告げる
きっとわたしは憶えている
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