第21話 猫と配達便

「 猫と配達便 」


 曇り空の日には

 雲は銀色で

 雲に少しだけ

 気持ちを映してみたくなりました


それなら

こんな本はどうですか

北の国の詩人の書いた

不思議の森の本の配達です


 題名はなんですか


トチの木の森に住んでいる

山猫やらどんぐりやらがでてくる

楽しいに決まっている物語のなかです


 なるほど

 耳の奥に残っているこれですか


でもですね

すべては森のなかの物語です

気をつけて読んでいかないと

ページたちは次から次へと

消えていってしまうのです


 こころして読みはじめても

 今日はほんと見事に曇った日ですから


では深い森で消えてしまわないように

森はあなたが思うより深いのです

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