第16話 輪郭

「 輪郭 」


カップを持ち上げる

右手の輪郭が少しずれている


ずれた輪郭が示したものは

あの人の持っていたカップの輪郭


( 思えばすべての時間はわずかながらにずれていて

  ずれた時間を何かに合わせるために

  ひとは時間を調整しているのではなかろうか )


ずれた輪郭にあの人をさがしている


カップを持ち上げる

右手の輪郭が少しずれている


ずれた輪郭が示したものは

あの人が持っていたカップの輪郭


わたしは輪郭を外していく


そのときカップの輪郭は無くなり

白い陶器となって

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