たなばた

michibatanokoisi

第1話 七夕

『今度の七夕祭りいかないか?』

 3ヶ月ぶりの彼氏からのメッセージ

 すっかり忘れられていたものだと思っていたけどどういうわけか今さらになってよりを戻そうとして来た。

 別に特別何かあった訳じゃない。ただ、なんとなく疎遠になった。

 

 これを送られてきたとき私は嬉しい!とは思わなかった。何で今さら?という疑問だけ。

 でも、特に断る理由もない。

 久しぶりに会えば何か変わるかもしれない。そんなちょっと期待を込めて『OK』と返信した。


 彦星と織姫は一年に一度しか会わない。これを悲劇的でロマンチックだとかいう人がいるけれども私はそうは思わない。

 星にとって一年は短い。彼らにとって会えない時間はそこまで長い時間じゃないはずだ。

 それに会えるときが決まってるのだから。

会えない何てことはないのだからそれはある意味幸福だと言えると思う。


 かといって私が彼に会えなくて辛い訳じゃないけど


 祭りの後、私たちはホテルにいた。

 久しぶりに会うんだし、そうだろうとは予想はしていたから準備はできてる。

 このときの私は彼に触れられて少し幸せだった。

 また、前みたいに一緒にいられる。


「ねぇ、どうしてお祭りに行こうなんて言い出したの?」

「あれ?嫌だった?」

「いや、単純に3ヶ月も間が空いたから不思議に思っただけ。」

「強いていうなら会いたくなったから?」

「何それ。じゃあ、その間は会いたくなかったの?」

 少しいたづらっぽく言ってみる。

「そうやって揚げ足とるのはずるいなぁー。そんな意地悪さんには...」

「あ、ちょっと」

 そうして二人はまた溺れていく。


彦星と織姫をさくのは大きな川だ。

彼らは溺れてしまうから渡れない。

年に1度だけ彼らの間には橋がかかり会うことができる。

 彼らは溺れない。

 この夜だけは溺れることはない。



「ねぇ?私のこと好き?」

「うん、愛してる。」


溺れた先にまつのは水底。

底にはきれいな星空が待っている。



作者より

彦星と織姫の話テラワロス

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