第23話
合衆国が開発した最新鋭戦略兵器、核爆弾による外科的な一撃で帝国軍の東部戦線における司令部が粉砕され、混乱した各部隊を精強な連邦親衛軍が鎌で麦を刈り取るがごとく各個撃破された。
「閣下?」
「いや、こちらから呼び掛ける。原始的だが我々が伝令となる。」
「了解しました。小隊毎に?」
「そうしてくれ。俺から広域回線で呼び掛ける。」
「はい。小隊拡散!適宜地上支援を。」
「こちら、ゲルマニア01。イェーガー01我々も支援する。東部戦線魔導部隊の総意と考えてくれ。」
「東部戦線、統括指揮権継承こちらイェーガー01。全軍ユリウスライン放棄、フランツラインまで後退せよ。繰り返す、フランツラインまで後退せよ!」
「続いて全魔導部隊に告ぐ、各位決死の覚悟をもって友軍部隊を窮地から救助せよ。諸君らはその報恩捨身をもって祖国への献身とせよ。」
「「「了解!」」」
「我が戦友諸君、友軍を卑劣なる敵の襲撃から守る。今ここ以上に良い死に場所あるか?」
「Nein!」
「各位散開!ここが命の捨てどころだ!」
「准将閣下に続け!」
敵軍は戦車8個師団、歩兵12個師団が我々の担当。砲兵の撤退が開始されて40分ほど。撤退完了後再編まであと2時間は要する。
重砲は捨て、負傷者に対して将校の義務を果たしてこれだ。
更に戦間期の軍質強化政策に伴い、帝国政府は帝国軍全ての高度な自動車・機械化を促進していた。唯一強力な仮想敵国と接する東部戦線の帝国軍はほぼ100%に及ぶ自動車・機械化率を誇る。
身も蓋もない言い方をすれば逃げ足だけは速いはずなのだ。
つまり、司令部破壊の混乱が後を引いている。
「リヒャルト01!メーデー!メーデー!」
後退する友軍の殿軍を務める一般部隊の第378歩兵師団所属の航空魔道増強中隊。
開戦時には各師団に大隊を配属できた航空魔道部隊は見るかげもなく、更に数だけではなく、質の低下も著しい。
東部戦線には452個師団が、展開済みだった。
戦闘にて損耗した師団が121個。司令部破壊後の混乱で狩られた、もしくは所在地不明が57個。3分の1以上の欠落。
しかもこれは額面通りの数でこれである。
実際には100余の師団が生き残っているのみである。対する敵は573個師団。差は歴然だ。
起死回生の一手は無い。ならば、盤面をひっくり返す暴力しかない。
『HQよりイェーガー01。暫定司令部と指揮統制確立。』
「了解。偵察機は飛んでいるな?」
『そうですが?何をされるおつもりですか?』
「無論、返礼だ。大隊続け、敵司令部を叩く!」
『ヴァナディーズ01よりイェーガー戦闘団、敵司令部と思しき指揮通信設備を視認した、展開された魔導師は6個大隊。練度は低いが突破できない。』
「了解、任せろ。大隊傾注!押し売りのアカを押し返す!敵司令部と思しきトーチカに突入地下壕に向けて燃焼術式だ。蒸し焼きにしてやれ!」
『ヤー。中隊続け!』
東部戦線司令部隷下の独立偵察魔導中隊からの報告が入り、そちらに急行する。
「ヴァナディーズ中隊、到着まで600!」
『可能な限り急いで欲しい!既に1個小隊落とされた。』
了解した。
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