先輩と後輩によって綴られる小話。
というわけでこちら、一話完結型の掌編集です。登場人物もそれぞれの話でちがう人物で、共通してるのは先輩(概ね男子、時々女子?)と後輩(多分全員女子)だってことだけ。なのでどこから読んでも大丈夫な構成になってます。
この読みやすさもいいんですけど、最大の特徴はそのテイストですね。“少し不思議”のほうのSF調で綴られるお話は、さくりと決まるオチの中に先輩後輩っていう微妙な関係性が生きてて、実にこう、じれったいというか難しいというか。
いや、普通に恋愛的な愛憎話もあったりするんですけど、やっぱりそこには落ち着かないんですよ。それがまた青春ものとしてのテイストを醸し出してて、読んでるともだもださせられるんですよねぇ。掌編という短いお話の中で行間をしっかり使えていればこそ、読者の感覚に訴えてくるにおいが立ってるのです。
さくっと読み切れるだけじゃなく、全編にわたっていいにおいが味わえる作品です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)