第22話 すっぽんぽん
「う、うう…く、くるしい…」
復活したフェルナンドが、悶えた。
「い、息が…ぐえ」
石化したハイネックの服が、フェルナンドの首に食い込んでいる。
それもそのはず。
フェルナンドは蘇生術で無事石化から回復したものの、服は生き物じゃないので、蘇生なんてかからない。
石化したら石化しっぱなしだ。
モナモナは、フェルナンドの首まわりをはじめ、元は服だった石たちを適当に割ってやった。
頑丈に石化しているとはいえ、布の薄さだ。素手で割れる。
背負った荷物だけは多少大きめの石になっていたが、何とかひっぺがすことができた。
フェルナンドはやっと体の自由を取り戻した。
そしてもちろん、素っ裸になった。
「っは、はー、はー…ふぅ。
あー苦しかった。ありがとう、モナモナ。
ジェスターも…蘇生してくれたんだな。本当いつもありがとう…」
モナモナと、ジェスターが頷く。
二人の姿をようやくしっかり見たフェルナンドは、
「えっ…?!あれ?!
モナモナ、ジェスター…何でこんなボロボロに…?!」
やっぱり、騒ぎ始めた。
「嘘だ、どうしたんだよ…!
ケルベロスにやられたのか?くそ、あいつ…!
そうだ、クラリッサは?!」
「フェリィ」
モナモナが止める。
「お前の目、節穴?
そこに転がってる岩なに?」
フェルナンドは、モナモナの示す方を振り向く。
─────横たわる、大きく黒々とした岩。
…よく見ると…
ケルベロスの形をしている…?!
「わーーーーー?!ケルベロス?!
えぇ?!ど、どういうことだ?!キレイに石化してるなぁ…
これ、私が死んでる間に倒したのか…!」
「あー、まぁね。
ちょっと石化したフェリィを便利に使って、クラリッサが魔法で赤い水を飲ませた。
んでケルベロス石化して、ジ・エンド」
「えぇ…?!
私が役に立ったならよかったけど…
あの赤い水、石化の効果があったのか…へぇ…」
「そう。
あの泉に落っこったフェリィが石化してたから気付けた。
功労者のクラリッサは、そこでおねんね中」
フェルナンドは、クラリッサに駆け寄る。
穏やかな寝顔。
桃色の髪を、そっとなでた。
「皆…
私が死んでる間に…頑張ってくれたんだな…」
フェルナンドは、湿った声を震わせた。
ジェスターが、体を起こす。
「…あの…フェルナンド」
気まずそうに、切り出した。
「…今、自分がすっぽんぽんってこと分かってて、なお感極まってるのか…?
めちゃくちゃ余裕あるな、お前…」
「え?
…あっ…ああ…そうだね…ハハ」
この反応は…。
どうやら忘れていたらしい、フェルナンド。
「マジかよ!あーーもうフェリィキモっ!そーゆーとこだぞ変態!!」
モナモナが、フェルナンドのむき出しのケツを力一杯蹴飛ばした。
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