第9話 超大型ケルベロス

木々をざわつかせるほどの咆哮。

空気がビリビリする。


声の主は間もなく、一行の前に現れた。


鋭い爪。

黒い体躯。

そして何より、3つの頭。

魔犬ケルベロス─────。


…と、思いたいが…


「え?これケルベロス?」

モナモナが言葉を漏らす。

「でかすぎじゃね?えっあり得ないんだけど」


そう。

でかすぎる。圧倒的に。


一応ケルベロスは“魔犬”。

サイズなんて、せいぜいペット用の大型犬くらいなものなのだ。


しかし目の前にいるこいつは…

胴体のボリュームは、ゾウとかサイとか、そういうのに近い。

頭の大きさは…言うまでもないだろう。

牙1本で、短剣を超えるほどの長さがある。

食われたらひとたまりもなさそうだ。



ケルベロスは、頭は3つだが、心臓は一つ。

心臓を貫いて殺すのが定石だ。


しかしここまで大きい個体になると、皮が厚く、肉も豊かで…

正直、弓だと心臓まで刺さらないのでは?

剣が通るかすら微妙だ。

魔法は威力は高いが、そもそも素早いケルベロスに当てるのは難しい。


なら…どうやって倒す…?


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