テンプレ17 「温泉サービス回 謎の光付き」

 日も沈みとっぷりと暗くなった頃、イスズとアリは動き出した。


 イスズは心なしか楽しげで、ときおり鼻歌も歌っており、まるでイスズの為にあるような現代のCMソングが通路へ流れる。


 入り口は流石に男女分かれており、日本風な暖簾のれんが下がっていた。

 イスズは暖簾を掻き分け中へとずいずいと入っていく。


 脱衣所もしっかりとしており、流石にコインロッカーまではないが、備え付けの棚が並び、無数の脱衣かごまで準備されている。


 イスズはジーンズ生地のジャケットとパンツを脱ぎ、男らしく全裸へとなる。


 予想はしていたが、イスズの体は筋骨隆々で、腹筋はバキバキに割れており、腕や足にも一目で筋肉と分かる山ができている。


「イスズ、やっぱお前スゴイ体だ――」


 そこでアリは絶句した。

 腹筋よりさらに下、密林の中に大樹、いや神樹と呼んでも差し支えないものをその目にしたからだ。


「イ、イスズさん、そろそろ行きましょう」


 いきなり敬語になったアリを不信に思いながらイスズは浴場への扉を開けた。



 アリが夢にまで見たその世界には……。


「なんで野郎しかいねぇぇぇぇんだよぉぉぉぉおおおおッ!!!!!!!」


 温泉の中には数人の男性がおり、いずれも良い体をしていた。


 その様子を見たイスズは、


「アリ、良かったじゃないか。温泉で濡れた艶やかな髪、熱のこもった口元。たわわに実ったバストにキュッと引き締まったヒップ。さっき言っていたのが全部揃っているぞ」


「そういう意味じゃねぇぇぇぇ!!!!」


 人間の体があればアリはひと月は泣いて暮らしただろう。


「まぁ、諦めろ。元々ここの混浴は人間と魔物が混浴できる場所であって男女が混浴できる所じゃない。パンフにもそう書いてあったぞ」


 その言葉に、イスズが嫌いそうなイベントに一瞬でも期待した自分が愚かだったとアリは仏のように悟った。


「久々の温泉、しかもサウナ付きだなんて最高だな」


 大きく伸びをするイスズに無駄に謎の光が差し込み、局部を隠していた。

 アリはこの光景を一生忘れることはないだろう……。

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