ホープ

染島ユースケ

第1話

 けたたましく目覚ましが鳴った。


 世間一般より少し遅い、僕の朝がやってくる。


 目覚ましアラームを黙らせて、簡素なベッドからのっそりと起き上がる。初夏の日差しが、薄っぺらいカーテンを透過して優しく突き刺さった。


 ひとまず渇ききった喉を潤そうと、流し台に向かう。ミネラルウォーターなんて洒落たものはないので、水道水をコップに注いで飲み干す。カルキ臭さとか、自分はあまり気にしない質だ。


 ふと、流し台に水垢が溜まってきていることに気がついた。そろそろ掃除しないといけない。ついでに、ここ最近の不摂生な生活も見直すタイミングかもしれない。


 しかし、それはいつも思考の中でぼんやりシミュレーションしただけで終わる。結局掃除は後回しになるし、朝食の代わりにコーヒーと煙草を摂取するのである。


 不意に、スヌーズ機能をそのままにしていた目覚ましが再び鳴った。


 9時50分。

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