第4話 忍者パニック
忍者の村人に連れられ、村の近くの街に着くと街の門前には大きな看板がぶら下げてあった。
看板には見たことが無い文字が書かれている。
異世界の文字だ。
異世界の文化と触れ合えると感動していたが不思議と書いてある文字の意味がわかってしまう。
非常にわかりたく無い名前だが、《忍びの神の街》こう書かれていた。
何故読めるのか不思議だが読めてしまった事に後悔しかない。知りたくなかった。
「忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ忍びの街へようこそ」
街の門番の人がバグった様に目を虚ろにして空を見上げながら同じ事を繰り返している。
「ひっ!通って良いのかな?」
「ハッハッハッハッ神の街ですぞ、通れぬ道理がありませんな」
(僕の街!?領主は!?)
門をくぐると外国の様な石畳みの道にレンガ造りの家が並んでいた。
「街の名前はあれだけど素晴らしい景観だね」
「街の景色ですか?ハッハッハッハッ街の名前が一番素晴らしいですぞ?」
「うっうんそうだね」
時折不穏なシュバッて音が聞こえてくてる。更には屋根の上を走る黒い影や、物陰からこちらを見守っている村人達が視界に入る。
「はははは・・」
笑うしかなかった。
更に街の中心部まで進むと何かに拝む人達の群れを発見する。
嫌な予感はするが聞かない訳にもいかない。
「あれは何を?」
「神に祈る時間ですな」
「へー神ね、神!?神って言ったよね!?」
神と言う不穏な言葉に冷や汗が吹き出る。
「ええ、我が神の像を崇めているのですぞ!」
何とそこには立派な僕の像が建てられていた。
「ぎゃー!!!」
思わず悲鳴をあげてしまった。街の人達が一斉に悲鳴をあげた僕の方を見る。
「ひゃっ!」
「「「「「「神!神が降臨された!神!」」」」」」
皆んな一斉に僕を見て土下座をする。
「神よー!殺さないでください!どうか!お慈悲を!」
「神よ!私達はカリス教徒ではありません!ですからお慈悲を!」
「ひぃいいいちゃんと朝昼晩祈っています!」
「カリス教徒の神殿は取り壊しました!」
「この街にはカリス教徒は一匹もいません!」
「ですからー!どうか!どううか!」
街の人達が地面に頭を擦り付けながら、村人達とは違う意味で僕の心をえぐってくる。
「ひえー!すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません!」
必死に僕は謝った。それしか僕には出来ないからだ。
僕が謝ると街の人達は何故か絶望し始める。
「ああもう死ぬんだ。死ぬしか無い」
「子供は子供だけは助けて!」
「武器や防具は装備をしないと意味がないよ?武器や防具は装備をしないと意味がないよ?武器や防具は装備をしないと意味がないよ?武器や防具は装備をしないと意味がないよ?武器や防具は装備をしないと意味がないよ?」
これ以上謝ると街の人の命が危険なので、僕は不本意だが謝るのをやめざるおえなかった。
「ささっ領主の館に行きましょう」
「領主の館!?街の人こんな状況なのに!?」
「後で躾をしてきますのでお気になさらず」
「躾!?いやちょっと待って!」
「ハッハッハッハッハッハッ」
不穏なワードが聞こえたがやはり笑って流される。物語の主人公ならこんな時明暗が浮かんだり、リーダーシップを取れたり出来るのだろうけど僕には無理だ。異世界流忍者集団を統率出来る気がしない。
「では神よ、我等が教官から教わった方法で館へ参りましょう。この忍者号で!」
凄いキメ顔で村人が指を指した物は僕が知る中で正しくリアカーだった。
「リアカーじゃねえか!!」
僕は全力で突っ込んだ
「リアカー?何ですかな?それは?これは忍者号、良いですか?忍者号ですよ?」
般若のような形相で怒られた。怖い、怖すぎる。身体の芯から震えてくる。まるで蛇に睨まれた蛙のように。
冷や汗が止まらない。
「わっわかったよ。あっあの領主の館みたいなところに僕が入っていいの?無礼討ちとかになるんじゃないの?僕は貴族じゃないしさ!だから帰ろ?ね?皆んなで里に引きこもろ?他の街に迷惑をかけないよにさ?」
必死で言葉を探し村人達に声をかけてみるが
「神よ・・」
何故か物凄く可哀想な人を見る目で見られた。
「彼処は忍者の街一号店です」
「一号店?え?店?」
「ハッハッハッハッ」
「笑って何でも誤魔化さないで!お願い!本当にお願いだから!リアカーに無理やり乗せないで!紐で縛らないで!神なんでしょ!?何で亀甲縛りとか知ってんだよ!」
「シートベルトですな!安全対策はバッチリですぞ!」
「何の安全だよ!?シートベルトの意味知らないだろ!?」
リアカーの上で亀甲縛りをされながら抵抗する僕を村人達が笑いながら囲んでいた。
「ハッハッハッハッハッハッ」
リアカーを引く忍者集団と共に領主の館に連行される僕。
亀甲縛りをされリアカーで領主の館に行く主人公。
かつてこんな高度なプレイをしながら領主に会った異世界勇者が居ただろうか?
いやいないきっと僕だけだ。しかも僕は勇者ですらない。
一年足らずで信仰宗教の神に祭り上げられ、敬われてはいないだろうけど、他の街を勝手に支配下に置かれてしまう何て事がありえるのだろうか?絶対にありえない。
こんなんだから神界でさぞ笑い者にされているのであろう。
僕だって他人がこんな状況なら同情するより爆笑してしまう自信がある。
あの同郷の勇者4人には知られたくない絶対に。
「あっあのさ、この際忍者号とか亀甲縛りは諦めるよ、あそこのボロボロの廃墟と、街の人が鬼気迫る顔で踏み絵してる絵の女って女神カリスだよね?」
「駄女神の宗教ですな、あれは私は信者じゃありませんよと言う街の人達の粋な計らいですなハッハッハッハッ」
ボロボロの廃墟に石を投げる街の人。
罵声を浴びせながら女神カリスの絵を踏む街の人。
狂気に満ち満ちた顔をしながら女神カリスの絵を破る街の人。
「糞女神ー!お布施返せー!」
「救いなんかねえじゃねえ!」
「騙しやがって!」
「この悪魔ー!」
「糞カス女!」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
街の人の暴言が酷いあの駄女神何であんなに恨まれてるんだろ?
あっ!忍者集団のせいか、ははは。
乾いた笑いが出てしまう。
「お家に帰りたい・・引きこもりたい・・・」
「神よ!忍びライダーになってくださいませんかな?民衆に忍びライダーとなった神の勇姿を見せたいのですが!」
「嫌だよ!何で人が落ち込んでるのにえぐってくんだよ!」
「「「忍びライダーがみたいなー」」」
「忍びライダーは街では絶対やらないから!」
村人達に心をえぐられていると領主の館が見えてきた。
何故かでかい看板が下げられておりそこには、領主の館✖️ 忍者の館○と書かれている。
更に垂れ幕が下がっていて、おいでませ忍者の館という文字が風ではためいていた。
「何なんだよこれ!異世界の領主の館ってさもっとこう威厳があったり、綺麗だったり、でかい門があったり門番がいたりするんじゃないの!?おいでませってなんだよ!忍者の館○ってなんだよ!ファンタジーを返せえええええ!」
「皆!神が興奮されているぞ!我々は間違っていなかった!我々の日頃の信仰を神が認めてくれたぞ!」
「「「「「「ウォー!!!!!」」」」」」
「五月蝿いのじゃーー!!」
銀髪で青い眼の白いワンピースを着た幼女が憤慨していた。
「おい!やめて!なんか怒ってる幼女がいるから!」
「人の家や街を好き勝手にして、その上家の前で騒ぐとは何なのじゃ!!」
「ごめんね、お嬢ちゃん!!悪気はなかったんだ!」
「五月蝿い!変態め!そんな縛られながら現れおって!汚らわしいのじゃ!」
僕は言葉を失った。今まで生きてきて幼女に変態と詰られたショックが余りにも大きかったからだ。
「ちっちがうんだよ?僕は嫌だって言ってるんだよ!」
「あー!!銅像の神じゃな!?」
「僕は神ではありません、人ですよ!?」
「ハッハハッ正しくは忍者の神だ!!領主よ!忘れるな!・・再教育するぞ?」
「ひっ!嫌なのじゃ、暗くて狭い箱はもう嫌なのじゃ!街も領民も渡したんじゃからもう、ワッチの事は捨て置いて欲しいのじゃ!助けて欲しいのじゃ!」
「へ?そもそも僕、状況がよくわからないんだけど領主さんなの?それにあの暗くて狭い箱って一体?」
「ハッハッハッハッハッハッ」
「なっなあワッチも忍者になったのじゃからもういいじゃろ?周りの街や王都からも何故か主達が来てから、忍者になったんだねおめでとうって言われた時のワッチの気持ちがわかるか!?敵対していた領主からも、君ならやれる!君は忍者だ!素敵な忍者だ!と励まされたワッチの心はズタズタなんじゃよ!?」
幼女の百面相は見ていて飽きないが、幼女の心はズタズタだった。
そんな幼女を見て微笑ましく笑う村人達。
「僕が見てきた街の中より幼女の心が深刻な事態じゃないか!?」
「幼女言うなーなのじゃ!領主なのじゃ!神よりは偉くないけど、ワッチは領主なのじゃ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます