第4話寂しい気持ち
目を覚ますと隣に誰かが眠ってくれている。
そんなことが子供の時以来あっただろうか。
私がいつも先に目を覚まして、隣に眠っている宏の静かな息遣い感じていた。
あまり逞しいとは言えないけれど、私と比べたら筋肉がついている腕が好きだ。
私はその二の腕に顔を摺り寄せる。
ひんやりとした肌の心地よさに、いつの間にか夢中で頬摺りをしてしまう。
私は起こさなかったかと気にして顔を覗き込んだ。
その顔は眠っていても起きている時と変わらず綺麗だ。
私は人形のような顔にしばらく見惚れていた。
透き通るような肌に、閉じた睫毛は濃くもなく薄くもなく丁度よいバランスで縁どられている。
薄っすらと紅い唇は品よく閉じられていて、悪戯心が湧いてしまう。
私はこっそりキスをしようとして自分の唇をゆっくりと近づけたけれど、彼を汚してしまいそうな気がして途中でやめた。
私は自分の事が綺麗じゃないと思っているから。
いつも彼を好きだと気持ちが高ぶっているのは私のほうだ。
こんなにも会いたいと思っているのも私だ。
はしゃいでいるのも私ばかりで彼はどこか冷静でいるような気がしていた。
体を重ねても心は満たされない。
手を伸ばせば温もりはすぐ届くのに『あなたを手に入れられない』哀しみと苛立ちが募っていった。
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