第1話
「おめでとう、
家に帰ったら、能面をつけたスーツの男が玄関に立っていた。徹夜続きでぼやける視界にスーツの色が見えた瞬間、俺は反射的にその場に土下座をしていた。
「あ、すみません部長。すみません部長。次からは絶対にミスしませんので。どうか、首だけは勘弁して下さい……」
口から自動的に流れ出たのは、とても自分のものとは思えない、機械みたいな声だった。本物の機械音声と違う点があるとすれば、情けなく震えているところだろう。
「顔を上げられよ、補佐官殿」
俺は恐る恐る、膝をついたまま顔を上げた。穏やかな笑みを浮かべた能面が、そっとこちらに手を差し伸べてきた。
「貴殿の日々つのる上質な呪いと絶望を、神は大変気に入っておられる。貴殿には『祭司補佐官』の地位が与えられた。この祭典の終焉まで、祭司たる私の補佐をしてほしい」
呪い。
頭はぼうっとしてよく働かなかったが、その言葉には、確かに聞き覚えがあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます