百好きは一好きに換算

歩瀬 ゆきなり(ふせ ゆきなり)

第1話

「おはようございます♪今日も一日頑張りましょう!!」


枕元に置いてあるスマホから自分の好きなアニメのヒロインの声が聞こえてきた。


「今日は土曜日だから、頑張らなくてもいいんだよ〜キトラちゃん」


一方的に朝を告げてくる液晶の中の可愛い女の子に俺(江東 睦)はそんな返事をした。今日は7月の上旬の土曜日だ。梅雨真っ只中のため、窓には大粒の雨がエンドレスで打ち付けられていてカーテンを閉めたままでも憂鬱になりそうだ。今日は部活もないはずだし、もう少しゴロゴロしていようかな。そう思った矢先にそれは阻まれる。


「ちょっと!睦!!早く起きて今すぐ降りてきなさい!!」


一階から母の怒鳴り声が聞こえる。あぁ、きっとこの前の模擬試験の結果がバレてしまったのだろう。(ホームページみれば一発で分かるもんな…)


「はいはい、今いくよー」


俺はまだ寝ていたいと主張する怠い体をベッドから起こして自室を出た。いつものように階段を降りてすぐのところにあるリビングと廊下を仕切るドアを開いた瞬間、目の前にはいつもと違う光景が写り込んできた。


「えっ?なんでうちに…」


リビングの真ん中にあるダイニングテーブルの席には母とそれに向かい合うかたちで同い年くらいの茶髪の女の子が座っていた。彼女は俺がリビングに入って来たことに気がつくと、俺の方へと振り向いて


「睦くん おはよ!早くしないとイルカショー見られなくなるよ?」


溢れんばかりの笑顔でそう言ってきた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こちらの作品は元々のアカウントである"鵜ノ瀬 ゆう"の方にて公開・更新を続ける事となりました。これからも頑張りますので応援のほどよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る