第38話 なんで命まで狙われないといけないんだよ
姫川家・別邸。
トレーニングルーム。
訓練着を着用した俺は、セレーネとルナちゃんから魔法を教わっていた。
俺がもっと強くなれば、姫川さんたちの助けになるかもしれないと考えたからだ。
「どうやらお兄ちゃんには『空間魔法』の適正があるみたいだね。
魔力量も桁外れに高いし、これなら空間と空間を繋げる『ゲート』と呼ばれる高等魔法も使えるかもしれないわよ」
「空間魔法か。
たしかに便利な魔法だと思うけど、ドラ○もんの四次元ポケットみたいなもんだろうーーー」
「これは、とてもすごいことなんですよ、旦那さま。
空間魔法は極めれば、世界を滅ぼすことだって可能だと言われていますから。
それに脱衣術師である旦那さまにはピッタリな魔法だと思います」
「ええ、『物質召喚』及び『転送』は、空間魔法の基礎ですからね。
これができなければ、話になりませんよ」
蒼いローブに身を包んだセレーネとルナちゃんが、詰め寄ってきた。
「わかった」
「まずは、カラダを流れる魔力を感じてください」
そうっと俺の胸にセレーネさんが触れてきた。
「心臓の鼓動を感じるように、神経を研ぎ澄まして」
武術の心得がある俺には、カラダ中を巡る魔力を感じとることは容易いことだった。
「なんか……とても……不思議な感覚だな」
「旦那さまはとても筋がいいわね。
次に強くイメージしてください」
イメージ、イメージ、イメージする。
「魔力の昂りを感じます、旦那さま」
「すごい、すごい、すごいよ、お兄ちゃん。
肌がひりつくほど……強い波動を感じるよ」
「そして最後に魔力を放出します。
指先に力を入れるような感覚です」
「はぁあっ!?」
俺は勢いよく息を吐き出す。
太陽の紋章は俺の感情に呼応して、金色の輝きを放ち。
天井から大量のパンツが降ってきたが……すぐに消えてしまう。
「し、失敗か……」
「きっとお兄ちゃんのイメージが鮮明じゃなかったから、すぐに消えちゃったんじゃないかな」
「それなら、もう一度だ」
イメージ、イメージ、イメージする。
強く、そして鮮明にイメージする。
「セレーネとルナちゃんが今穿いているパンツが欲しい」
俺は勢い叫び声を上げる。
太陽の紋章は俺の感情に呼応して、金色の輝きを放ち。
「「きゃあ」」
ルナちゃんとセレーネの悲鳴が聞こえてきた。
俺の右手には水玉模様パンツとイチゴパンツが握られている。
「で、できた!?」
「さすがわ、旦那さまです。
当初の目的を完全にお忘れになっているみたいですね」
「し、しまった!?
つい、エロいことを考えてしまった。
これでは、せっかく魔法が使えるようになっても、ルナちゃんとセレーネを護ることができないかもしれない。
もっと、実戦でも使える魔法を思えないと……でも……ありがとうな、ルナちゃん、セレーネ」
「お礼を言う前に、早く下着を返してください」
「すまん、うっかり忘れていた。
ところで、どっちがルナちゃんのパンツなんだ」
「お、お兄ちゃんのエッチ!? スケベ!? 変態」
「旦那さまは、もう少し女心というものを学ぶべきです」
ルナちゃんにイチゴパンツを返し、セレーネに水玉模様パンツを返した。
その後、いろいろと試してわかったことがある。
まず、奴隷が受けたダメージは、全て俺に返ってくるわけではない。
どうやら俺がダメージを肩代わりできるのは、エルフから攻撃を受けた時のみらしいな。
試しにルナちゃんの頬を軽くつねってみたところ全然痛くなかったけれど、セレーネがルナちゃんの頬をつねったら、カラダ中に激痛が走ったもんな。
それからルナちゃんが落ちていたダンベルにつまずき、転んでも、俺は全然痛くなかったけど、ルナちゃんが姫川さんの頬をつねったら、カラダ中に激痛が走ったもんな。
そんなことを考えていると薔薇園の方から、絹を切り裂くような悲鳴が聞こえてきた。
「わたくしたちを始末するために、エルフ王アベルが刺客を送り込んできたのかもしれません」
「なんで命まで狙われないといけないんだよ」
「それは……わらわたちが……忌み子……だからだよ」
「そんな身勝手な話がある―――」
「露璃村くん、その話は後で。
今は、助けにいかないと」
「ああ、そうだった」
俺たちは窓から外に飛び出し、薔薇園に向かうと、メイドさんたちがモンスターの群れに襲われていた。
「や、やめて……いやあああああぁ!!」
巨大な鋏を振り回すカニの化け物。
硬い毛で覆われた毒々しい十本足の
緑の
獅子の頭と山羊の頭を併せ持つ双頭の魔獣。
「バケモノ。
その薄汚い手を離せ」
俺の怒りは爆発した。
太陽の紋章は俺の感情に呼応して、金色の輝きを放ち、身体能力を爆発的に高めてくれた。
俺は魔獣に殴り掛かる。
「ぎゃああああ」
叫び声を上げ、魔獣は光の粒子になり霧散した。
「彩妹ちゃんとみちるちゃんは、メイドさんたちを安全な場所まで連れていてあげて」
「うん。わかった、主さまも気をつけてね」
「絶対に無理はしないでね、ダイスケくん」
子蜘蛛たちの相手をしながら
「ああ、わかってるよ」
「王子さま、カッコイイ。
妾も負けてられないわね」
口元を隠すイカしたマスクに、夜色のレオタードを身に着け、カラダの至る所に包帯が巻かれ、肩や足の付け根などは露出しており、超極薄のレオタードのためか、くっきりと曲線をさらけ出している。
腰まわりやヒップもほどよく引き締まっていて、実に素晴らしいな。
銀色の髪をサラサラと靡かせ、鋭く息を落すとともに肘上まであるエナメルブラックな手袋をはめた両腕には、クナイや手裏剣ではなく『彫刻刀』が握られていた。
「覚悟しなさい、化け蜘蛛」
愛理沙ちゃんは
その動作が、 無駄にかっこよく見せようとしているのか? どこか芝居がかって見えた。
「きゃああああああああああ」
叫び声を上げ、大蜘蛛は光の粒子になり霧散した。
「最後の一匹は私に任せて」
姫川さんは巨大ガニの頭上まで飛び上がり、一回転してから垂直カカト落としを見事に決める。
「きゃああああああああああ」
叫び声を上げ、巨大ガニは光の粒子になり霧散した。
やっぱり金髪に真っ白なチアガールのコスチュームって似合うよな。
しかも胸についているロゴは不自然なほどに盛り上がり、前面に押し出されている。
豊かな胸の膨らみは、同世代の平均から大きく逸脱していて、無駄な肉が一切ついていない引き締まった真っ白なお腹に可愛らしいおへそが見え。
フリフリなミニスカートの下に穿かれたアンダースコートも最高だな。
また動きやすさを重視してか? 手脚が大胆なほど露出する作りになっているだよ。
そのあまりの神々しさに俺は、勢いよく鼻血をふきだしてしまう。
「理沙さま……あの程度の敵。
妾一人でも殲滅することは容易にできました」
いきなりありさちゃんが姫川さんに攻撃をくりだす。
下半身を包むのはオーバーニー黒の網タイツに、足先は膝上まであるハイヒールの黒ブーツからくり出された
「だって、私も露璃村にカッコイイところ見せたかったのよ」
もちろん、迎え撃つ姫川さんの足技も凄かった。
アクロバティックな動きとでも言うのだろうか?
さらにありえない角度から飛んできた彫刻刀を軽やかな足技で弾き返し、縦横無尽に襲いかかってくる迷いない蹴りをことごとく防いでいた。
それだけ激しい動きをしていると、ついその豊満な胸に目がいってしまう。
悲しき男のさがだな。
だが、それがイケなかった。
「戦場ではちょっとした油断が命取りになるということをーーー身をもって教えてやるよ」
茂みに隠れていた銀色の
刺客はダークエルフだった。
腰まである艶やかな長い黒髪。
アスリートを彷彿とさせる爽やかなナイスバディに美しく整った顔立ち。
赤を基調とした上衣は、肩が剥き出しで、カラダにピッタリと密着していて、2つの豊満なおっぱいの形がよくわかる。
スカートの丈は短く、柔らかそうな太ももがあらわになっている。
「あまい、あまい、あまい、ミルクチョコよりも甘い奇襲攻撃だぞ」
「きゃああああああああああ」
俺は素早い動きで、刺客のエルフの衣服を剥ぎ取る。
「これで勝ったと思わないことね」
捨てセリフを叫び。
刺客のエルフは煙玉を地面に投げつけて、その煙にまぎれて姿を消した。
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