◇SNS 女子高生は見た
チカ:ねえねえ、見ちゃった。
ラン:何を?
チカ:デートだよ。デートしてるところ。
ユー子:誰? それ誰? まっ、まさか王子!? イヤーーーッ!
シズ:ドウドウ! ユー子落ち着いて。結星くん、今忙しくてそれどころじゃないでしょ。
ユー子:結星くん!? ずるい、私も名前呼びする〜〜〜!
シズ:てへっ。そろそろいいかなって。いつまでも王子じゃちょっと他人行儀だし。ユー子もそうしなよ。
ユー子:ゆ、ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ
キョーコ:めっちゃ動揺してる。「結星くん」。ほら、やってみ。
ユー子:(ゆうせいくん)。きゃっ♡
ミカ:おいっ、そこの連中。羨まし過ぎるから、ノロケるのは個チャで。
シズ:ごめん。話戻すね。それでチカ、誰のデートを見ちゃったの?
ユー子:申し訳ございません(土下座)。調子に乗ってました。
キョーコ:ごめんね、チカ教えて。
チカ:うむ。よかろう。デートしてたのは……あの、佐藤。
ラン:えっ? あの佐藤ってどの佐藤?
チカ:担任の佐藤。佐藤華子。
キョーコ:えええーーーっ! マジ?
チカ:マジモンのマジ。マージマジ。
サキ:何がマジマジ?
ひな:ふむ。佐藤がデート。してその相手は?
チカ:そこ、そこよ。そこなの。相手が大物なの!
ラン:大物って誰よ。みんなが知ってる人?
チカ:よーーーく知ってる人だよ。
ミカ:クッ。まさかあの佐藤に先を越されるなんて……
サキ:ミカ、逆の発想だよ! 佐藤にだって挽回できた。なら私たちだって、将来できるかも。
ミカ:そうだ。そうだよね。元気でた。ありがとうサキちゃん。で、相手は誰?
チカ:ふふふ。発表します! 水島。水ピー。なんとあの……御曹子水島です!
ラン:へっ? 嘘。そんなの聞いてない。嘘嘘嘘。嘘と言って!バタッ。
ひな:あー。そういえばランちゃん、ファンクラブ会員だったね。
ラン:会員番号No.3248。大変ショックです。それが事実なら、幹部に報告入れなきゃ。
キョーコ:No.3248? それっておかしくない? うちにそんなに生徒いないよね。
ひな:校外会員が学園会員の倍くらいいるから。ちな私も会員。No.3232。
キョーコ:知らなかった。水ピーって、そんなに人気あったんだ。
ユー子:No.3225。ちょっとショックです。
ミカ:おっと。結構いるんだね。
ひな:在校生は会費無料で、卒業生は通信費だけ。コスパ良好。サークルみたいなファンクラブなのよ。
ラン:でも校外会員になるには、それなりに登録料がかかるって聞いたよ。あまり安くすると会員が増えすぎちゃうからなんだって。
サキ:佐藤も確か会員だったはず。かつてのファン→未来のダーリン♡とか。なんちゅうドリーム。
ミカ:職場恋愛なんて、夢物語だと思ってた。
サキ:あるんだね。こういう実例を聞いちゃうとめっちゃ希望が湧いてくる。
ミカ:だね。そうそう転がってる話じゃないと思うけど。とりあえず、おめでとう佐藤!
ラン:クッ! おめでとう。
ひな:めでたいめでたい。
キョーコ:話変わるけどさ、ひな、あれどうだった? エルダーとの対決。
ミカ:そうそう、それも気になってた。で、どう?
ひな:それね。会ってきたよ。正直、印籠関門よりびびった。
ラン:びびるって何か言われたの?
ひな:北条っちが選ぶだけあって、いい人だった。だけど、縄張りをしっかり主張されちゃった。
キョーコ:縄張り? なにそれ。
ひな:冬から春のリゾートシーズンは北条っちは自分と過ごすから、あなたは遠慮して下さいって。
サキ:ええーーっ。季節縛り? それってひどくない?
ひな:夏秋の女。季節嫁。それが私の生きる道。はぁ。
シズ:でもさ、春や冬に全く会えないわけじゃないんでしょう?
ひな:まあね。ロングバケーションに拉致られていなければ、会うことはできるっぽい。
キョーコ:ぽい? 確定じゃないんだ?
ひな:たぶん会っても怒りはしないと思う。……そう思いたい。私の存在を否定しているわけじゃなくて、あくまでも北条っちの時間を分担しましょうっていう話で、かなり友好的ではあったんだよ。
サキ:そっか。パートナー本人が甘々でも、エルダーがそういう風に仕切ってくる場合もあるんだね。勉強になったわ。
ラン:じゃあ、エルダーがいないだけ、私たちは良かったのかな? チカ、どう思う?
チカ:いやいや。あの幼馴染み三人組はそう甘くはないと思う。
ラン:やっぱりそうか。彼女たちとも、なるべくうまくやっていきたいんだけど。
チカ:一番大きな問題は、嫁が総勢五人じゃ終わらないだろうってことよ。まだまだ増えるよきっと。
ラン:上杉君だものね、それは覚悟してる。やっぱり当面は、あの三人と組む方向で行きますか。
チカ:そうだね。味方は多いほうがいい。
ミカ:はぁ。こうしてみると、ゴールインしただけじゃ終わらないんだね。あっちもこっちも大変そう。
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