勇者以外でお願いします

仙道 宅

第1話 しかしまわりこまれてしまった。

俺が生まれた世界は人と魔物が争い合う世界、剣と魔法の世界だった。おとぎ話に出て来るような平和なのんびりな世界でなくゴリゴリに魔物もいるしその魔物の王様、魔王って呼ばれてるやつもいる。

まさに最悪の世界だ。

しかし!そんな世界にも救いはある。それが俺の父親である勇者デッグ.ノーバスである。

戦士の様に力持ちで武道家の様に素早くそして賢者の様に魔法を使う!誰にでも優しく悪は許さないと絵に描いたような勇者の父親は国の王様にも期待され1人魔王討伐へと旅立って魔物との戦いの中地獄に通じてるとも言われる氷河の裂け目に落ちて帰らぬ人となりました。

国中いや、世界中がその悲しみにくれたのだ。

当時6歳だった俺も父親の一番弟子のローグも悲しんだ涙が永遠に枯れる事はないのじゃないかと思う位に泣いた。しかしそんな中ただ1人母さんだけは決して涙を見せなかった。王様が

「奥方よ悲しみを耐える事はない泣きたい時は泣いて良いのだそれが例え子供の前だとしてもじゃ」

幼い俺もそうだ母さんは、どうして泣かないんだ?1番悲しいはずなのにとずっと思っていた。すると母は、王様に希望のある人の目でこう言った。

「王様確かに夫を亡くした事は悲しいです。しかしまだ私達には大きな希望が残っています」

「何と⁉︎奥方!まだ希望があると!勇者デッグを亡くした我々にまだ希望があると⁉︎それは何だね!是非教えてほしい!世界に希望がある事を!」

それはそうだろう父を亡くしてもう魔王討伐何て諦めていたのに希望があると言われれば王様は知りたいはずだ。

「今から10年後この子が16歳の誕生日を迎えて成人した日に父デッグの意志を継いで王様の前に勇者として現れましょう!」

「それは誠か!そうか!まだ希望は、ある!勇者デッグの息子リッツ.ノーバスよ!そなたの16歳の誕生日!その日が来るまで私は玉座の間にて首を長くして待っておるぞっ!」

消えかけた希望の火がまた灯されたかの様に国中は、歓喜に満ちていた。やれる!まだ希望はある!見ていろ魔王!など色々な声が飛び交っていた。

そして母はボーッとした俺を見つめながらこう言った

「この幼い子には、まだ分からないかもしれないけどいずれこの運命を誇りに思って旅立つ時が来ますわ」

ドン引きしてるんだよ。何も分からずボーッとしてんじゃないの母さん俺ドン引きしてるの!

どこの世界に子供を死地に送り込む母親があるんだよ!?えっ?運命?ってか俺が16歳になるまでお前ら10年間何してんの?その10年間の間に死ぬ程修行して魔王討伐してきなさいよっ!!6歳の子供の肩に世界を背負わせてやったった感出してんじゃないよ!ドン引きだよ!ガチドン引き!ガチドンだよ!…

などとは6歳のドン引き中の俺は何も言えず。その日国中は、新たな希望に湧き上がったと言う。


それから9年俺は15歳になった。


残り1年間必ず俺は勇者にならずに逃げ切ってみせる!世界?知らんそんな事!何と罵られようと俺は勇者にならずに生き抜いてみせる!


っていうか早く誰か世界を救ってくれ!勇者の称号なんてあげるから!

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