マス・トリック2(偽札騒ぎ)

@stdnt

第1話

n人を横列に並べて座らせる方法は、

n×(n-1)×・・・×2×1=n! 通り

n人を円卓に並べて座らせる方法は、

(横列の通り数)÷n 通り 

になります。

(前者を「(異なるn人に対する)順列」、

後者を「(異なるn人に対する)円順列」といいます。)


例:3人(A,B C)の場合

順列は 3×2×1=6通り

円順列は6÷3  =2通り

(ABC、BCA、CABの順列の並びは円順列にすると同一のものになるのが原因です。)


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ある国で紙幣のデザインが変更されることになり、

造幣局では印刷が始まった。


国鳥をデザインしたすかしの下には

紙幣ナンバーに続いて「GINKO(銀行)」の文字が印刷される。

造幣局の輪転機はうなりをあげて紙幣をはき出している。


だが、しばらくして、全国各地から偽札騒ぎが持ち上がった。

紙幣発行直後、ほぼ、同時多発であった。


警察当局は、大規模な犯罪組織の存在を考えた。

他国からの攻撃も視野に入っている。

偽札は非常に精巧にできており、ある部分「GINKO」を除いては完璧であった。

ナンバーにもかぶりがない。

当局は造幣局の情報漏洩も捜査対象に広げている。


造幣局は窮地である。

輪転機を詳細に調べてみる。

回転する印刷部分、順に、G、I、N、K、Oの型が刻まれている。

問題はないはずだ。


全国にばらまかれた、偽札。

それは4タイプである。


「INKOG」

「NKOGI」

「KOGIN」

「OGINK」


しばらくして、国は、4タイプとも本物の紙幣として有効であると認定した。

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