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 ハリウッドデビューする颯人君と、本宮corporation代表取締役社長の空。


 二人の描いた未来予想図は異なるものだから、空が躊躇する気持ちはわかる。


「おば……お姉さん、彼氏がいたんだ。どうして追い掛けないの?このままじゃ拗らせ女子になっちゃうよ」


「えっ……?」


「好きなら、どうして『好きだ』って言わないの?」


「それは……」


「好きな人に『好き』って言わないと、ますますおばさんになっちゃうよ」


「……は、はあ!?翼、子供のくせにゴチャゴチャ煩いよ」


「子供じゃないし、十五歳はオトナです」


 十五歳のストレートな言葉に、空はアタフタしている。


 十五歳の頃、素直に言えた言葉が大人になるにつれて言えなくなるなんて、本宮corporationの代表取締役社長という重責が空を苦しめている。


 ――想い出して、空……。


 高校生の時の素直な気持ち。


 ――本宮の家庭内暴力や真衣さんのことで、悩み苦しんでいた空を、颯人君は傍で寄り添い支えてくれた。


 ――本宮が息を引き取った時も、泣き叫ぶ空を颯人君は優しく抱きしめてくれた。


 颯人君との関係は良好だと思っていたのに。


 それなのに……。

 大人になるにつれ、素直に想いを伝えられなくなった。

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