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 そのまま東京には戻らず、俺の両親の住む横浜まで車を走らせた。


 横浜の実家は二年振りだ。学生時代、奈央と同棲していたことも両親は知らない。事前に電話で『逢わせたい人がいる』と知らせたが、子供のことはまだ言えなかった。


 両親は俺が恋人を紹介すると、とらえていたのだろう。いきなり妻子を連れて帰った俺に、両親はポカンと口を開けたまま唖然としている。


『早く結婚しろ』『早く孫の顔が見たい』口癖のように、俺にプレッシャーをかけていたくせに、実際目の前に孫が現れると思考回路が混乱しフリーズするものだ。


 俺はそんな親父に翼を抱かせた。孫を抱かせることで、ことを荒立てなくて済むと思ったからだ。


 俺が思った通り、初孫でもある翼の愛らしさは両親に微笑みをもたらした。


 両親は唖然としながらも、奈央と翼を温かく迎えてくれた。


 その日の夜、俺達の結婚と翼の出産祝賀会と称し、親父は都内に住む伯父夫婦や横浜に住む親戚を家に招き身内だけのホームパーティーを開いた。


 高校生の弟は突然出来た義姉と姪っ子に戸惑いながらも、翼を抱いてあやした。


 幸せな家族の光景。一度はこの幸せを手放した俺だが、二人を一生愛するとこの日心に誓った。

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